遊星ゲームズ
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ごいた
 ボードゲーム

2007.09.10 00:20 てらしま
ごいた
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2006年
グランペール
伝統ゲームをカードゲームとして再現したもの
4人
15分
thx to play:game

 日本の、能登地方に伝わるという伝統ゲームである。「保存会」なんてのもあるし、大会もある。シンプルだが考えるところもあり、これがおもしろい。
 もともとは、碁盤の上で将棋みたいな駒を使ってやるらしいのだけど、このグランペール版はカードになっている。

 カードは下の8種類32枚。

  • 王「おう」(50点) 2枚
  • 飛車「ひしゃ」(40点) 2枚
  • 角「かく」(40点) 2枚
  • 金「きん」(30点) 4枚
  • 銀「ぎん」(30点) 4枚
  • 馬「ばっこ」(20点) 4枚
  • 香「ごん」(20点) 4枚
  • し「ふ」(10点) 10枚

 つまり将棋の駒なんだけど、そのものではできない。カードゲーム版ではない本物では、大きさが同じで裏が白い専用の駒を使うらしい。

 まあ伝統ゲームなんだし、簡単だし、普及活動への賛同という観点からもルールを全部書いてみよう。

 プレイ人数は4人で、コントラクトブリッジのように向かい合ったプレイヤー同士が仲間である。
 親はまず1枚伏せて出し、次に表で攻撃札を出す。
 次のプレイヤーは、前のプレイヤーの攻撃札と同じカードを表で出して受け、次に攻撃札を出す。あえてパスしてもいい。受けることができなかったらパスするしかない。
 3人がパスをして自分のところに戻ってきたら、その攻撃は受けず、1枚を伏せてまた次の攻撃札を出す。
 誰か一人が手札を使いきったらそのディールは終了。手札がなくなったプレイヤーが最後に出したカードの得点が、そのチームに与えられる。

 ただし「王」は王だけに特別なカード。攻撃札が「し」「香」以外ならなんでも受けることができるかわりに、基本的に攻撃札として出すことができない。「王」で攻撃してもいいのは下の場合のみ。

  • すでに「王」が出ている
  • 自分が「王」を2枚持っている
  • 上がり札として使う

 そうして、先に150点をとったチームの勝利。

 加えて、配られた時点で勝負が決まってしまう「手役」というのもある。といってもこれは簡単なもの。

  • 「し」が5枚あったら、パートナーと相談。パートナーがOKといったら配りなおす。
     ただしこのとき、パートナーが残りの「し」を全部持ってたら、150点を得てディール終了。
  • 「し」が6枚あったら、残り2枚のうち高いほうの得点を得てディール終了。
  • 「し」が7枚あったら、残りの札の得点の2倍を得てディール終了。
  • 「し」が8枚あったら、100点を得てディール終了。

 ルールはこんなもの。非常にシンプルである。

 32枚のカードは全部配られてるので、誰がなにをもっているのか、考えることができる。
 味方のどちらかが手札を使いきればそれでいいわけだから、敵の持っていない札で攻撃しつづければいい。そのために、どういう手順で攻撃していけばいいか、計画をたてて行動する。
 一般的なトリックテイキングゲームの形式とは違うけど、仲間と敵の手札を考えながらディールをくりかえす感じは、コントラクトブリッジと同じものだ。

 個人的に、このシステムは他に応用できる気がしている。ここにちょっと特殊効果つきのカードをつけたすとかやれば、すぐに傑作カードゲームが作れる気がするのだがどうだろう。

 実際のところの、残念なところはある。プレイ人数が4人限定だというところだ。
 15分ほどの気軽なゲームなのだが、実際にゲームをするために集まったとき、4人というのは、他にやるゲームがいくらでもある人数なのだ。
 たとえばククや6ニムト!、ハイパーロボットなどの多人数ゲームなら、人数が集まりすぎてしまったとき「卓を分割する前に一度」とか、そういう使いかたができる。逆にサンファンなど3人でもできるゲームなら、人数が集まる前にといえる。
 これはゲームそのものの問題ではなくて、ゲームがプレイされる環境によるもの。軽いゲームは、4人未満か6人以上でないとプレイされる機会が少ないのだ。
 特に4人というのは、もっとも多くのゲームがある人数であり、厳しい。
 このへんは残念なことだが、しかたのないところだ。

 伝統ゲームである。
一般的に、古いからといって伝統をむやみに守ればいいかというと、そういうことを考えるのは必ずしもボードゲーマーの領分じゃない。でも、おもしろいんならもちろん守ったほうがいい。
 ボードゲーマーはわりとそういうところが素直だ。たとえば、やはり伝統ゲームであるクク(カンビオ)は、もうどのゲーム会にいっても常備されている。ときどき投扇興を持ってくるやつがいたりする。
 おもしろいものをいつも捜していて、おもしろければ素直に歓迎する、ボードゲーマーのそういうところは、わたしはわりと好きだったりする。

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ごいたを