遊星ゲームズ
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オアシス
 ボードゲーム

2009/07/14 00:23 てらしま
オアシス
OASIS
2004年
Amigo
Alan R.Moon & Aaron Weissblum
3~5人(4人)
60分
thx to play:game
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 傑作と呼ばれることがあるゲームだけど、やったことなかった。最近やったのだけど、たしかにおもしろい。
 陣取りゲームなのだけど、いろんなところに細かい工夫がなされている。
 舞台はゴビ砂漠らしい。砂漠の民族の一員となり、広い土地と財産を手に入れる。

 まず、自分のデッキからカードをめくる。1枚だけでもいいし、たくさんめくってもいい。めくる枚数が少ないほど、デッキに補充できるカードが多くなる。
 これを全員がやる。全員の前に、数枚ずつのカードが提示される。
 各プレイヤーは、地位タイルというモノを持っている。この地位タイルには、プレイ順を表す数字が書かれている。この順番にしたがい「自分以外のプレイヤーが提示したカード」をとっていく。
 そうしたら、自分の地位タイルをその相手に渡す。つまり、1番に選ばれたら、次のラウンドで1番になれる。
 もちろん、1番は選択肢が多いから、有利だ。しかもそれに加え、タイルを1枚追加で配置できるという特権までついてくる。この1番タイルは「族長」と呼ばれる。
 つまり、できるだけたくさんの贈り物を提示したほうがいい。けれどもちろん、贈り物をしすぎれば財産を失う。財産というのは、各自に与えられているデッキのこと。贈り物の枚数が少ないほどデッキの補充枚数が多いというルールだから、毎ターン多くの贈り物を出し続けることはできない。

 この提示したカードには「贈り物」という名前がつけられている。贈り物をできるだけたくさんすると高い名誉を得られる、というどこかの民族の風習を思い起こさせる。
「ポトラッチ」とかいったかと思うけど、あれはアメリカ大陸の話だった。ゴビ砂漠にそんな風習あったのかどうか知らない。

 このあたりの贈り物ルールがまずおもしろい。
 無駄がなくよくできているし。族長になるためにたくさんめくるのか、このラウンドは我慢するのか。選択肢はどうせ「もう一枚めくるかどうか」くらいのものなんだけど、これが楽しい。

 さてしかし、陣取りゲームなのである。ボードにはたくさんのマスが描かれている。そこに置くタイルもたくさん入っている。

 贈り物でもらったカードには、なにか絵が描かれている。そこに描かれているモノをもらえるんである。
 地形タイルをもらったら、それをボード上に置く。「自分の土地」はかたまり4つまでしか主張できないから、地形タイルは、すでに置いた地形タイルのとなりにつなげて置いていくことになる。
 そうやって、自分の土地が増えていく。
 しかし、それだけでは得点にならない。各地形に対応する「得点マーカー」が必要になる。
 ゲーム終了時の得点計算方法は、基本的に「土地の数×対応する得点マーカーの数」だ。
 ボードを横切るシルクロードに配置できる「ラクダ」なんてのもあるけど、これも得点方法は地形タイルと似たようなもの。
 陣取りではあるし、土地はたくさん持っていたほうがいい。でも土地だけではダメ。というか、得点マーカーがなければゼロ点だ。

 これ、若干、直感に反していると思う。カタンで不毛な最長交易路合戦が起こってしまうような現象が、このゲームでも起こりそうだ。
 なにしろ、盤面の土地は他人と競っているわけでもあるし。つい熱くなってしまいそうだ。
 けれど、じつは土地は、得点マーカーと等価値なんである。
 効率のいいとりかたは決まっていて。「土地と得点マーカーを同数ずつ集める」が正解だ。ゲームボードから受ける直感よりも、じっさいの得点マーカーの価値が高いという気がする。
 ちなみに同じ理屈で、ドミニオン:陰謀のカード「公爵」の適正枚数もわかる。公爵の適正枚数は、つねに「公領の枚数マイナス3または4枚」である。
 これは考えれば誰でもわかることだけど、逆にいえば、少しだけ考えなければわからない。
 ドミニオンはそういうのを考えるゲームだからそれでいいが、こういう陣取りゲームに適したルールかというと微妙かもしれない。というような気も、少しする。
 まあしかし、それは知っている人が最初にいえばいいだろう。
 じっさいはもちろん、そんなに都合よくいくわけではない。陣取りなのはたしかだから、まだ得点がないとわかっていても土地を広げる選択だって、もちろんある。

 あと、直感に反するかもしれない点がもうひとつ。
 たとえば「岩場」という地形タイルが10個あるとき。岩場に対応する得点マーカー1個の価値は10点だ。たとえば、2個ある「草原」に対応する得点マーカー4個よりも高い。
 自然と、できるだけ1色でまとめていくことになる。そのほうが得点が高いんである。
 数字で考えれば明確に、自分にとって高得点な選択肢が見つかる。だが、印象のみでプレイしていると間違える。
 数字を意識してプレイするプレイヤーは、じつはそれほど多数派ではない。このゲームは、数字を考えたほうが明確に有利。だから、はっきりと優劣が生まれてしまう可能性が高いと思う。
 そのあたりは、インストするときに説明してしまったほうがいいのかもしれない、などとも思う。

 地形やラクダにはそれぞれ、配置ルールに特色がある。そのあたりのルールは若干細かいけど、どれもわかりやすいから心配するほどではない。
 地形タイルをどこに置くかの選択が、これまた楽しい。
「このへんか?」「いやとなりかも」みたいな、序盤は囲碁のようなおもしろさがある。じっさい、最初に置いたタイルからはつなげて広げていかなければならないわけだから。他のプレイヤーが飛びこんできづらいようにとか、いろいろ考えたくなるんである。
 陣取りゲームのおもしろさだ。

 贈り物ルールも、陣取りも、どちらもやっていて楽しい。たしかに傑作だ。

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