遊星ゲームズ
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カロン株式会社
 ボードゲーム

2011/03/17 02:45 てらしま
カロン株式会社
Charon Inc.
2010年
Gryphon Games
Emanuele Ornella
2~5人
60分
thx to play:game
amazon

 例の準惑星(でも衛星)カロンを開拓するゲーム。
 なんかAge of EmpiresⅢみたいなボード。左のほうにアクションを表しているっぽいマスが並んでいて、ボードのまん中には地図が描かれている。
 Age of EmpiresⅢの場合は、手元からこの左側のマスにコマを置くことでアクションを実行する。あれは右だったっけ?
 その中のひとつに、新大陸に植民者を送るというものがあって。それで、地図上に植民者を送って、いわゆるエリアマジョリティをやって得点を稼ぐというのが、あのゲームなのだけど。他にもいろいろあるけど。
 たしかにこのカロン株式会社、あれとテーマが似ている。だから、似たデザインのボードになったんだろう。
 でもじつは、やることが逆なのだ。
 そこが特徴。

 まずラウンドの最初に、コマを全部、左のアクションマスに1個ずつ置く。コマというか、旗だけど。
 各マスには、各プレイヤーの旗が1本ずつ置かれる。その状態で、ラウンドを開始するんである。
 プレイヤーは順番に、この旗を地図上に移動していく。この旗の配置で、各エリアの覇権が決まる。重要だ。
 いわゆるエリアマジョリティというやつ。だけど、ちょっと違う。この旗、エリアの境界に置けるのだ。カタンの開拓地のように、置いた場所に隣接しているエリアすべてに影響力を持っている。
カロン株式会社ボード エリアは四角。旗は、交差点にも辺にも置ける。もちろん、交差点は4エリアに隣接できるわけで、有利だ。でも優先してとりたいエリアなら、辺にも置く。
(あといちおう、エリアの中にも置ける)
 そういうちょっと変則的なエリアマジョリティをやって、獲得したエリアで資源を採掘する。各エリアにはランダムで資源が置かれているから、それを見て、誰がどの資源を狙っているのか考えつつ旗を配置していく。
 旗の配置が終わったら、各エリアの資源を分配する。この資源をつかって、場にランダムで出されている建物カードを獲得する。この建物カードが、得点。
 というゲームなのだけど。

 問題は、左のアクションマス。
 配置してアクションを実行するわけではない、とはさっき書いた。ではどうするかというと、「最後に1本残った旗の置かれているマスのアクションを実行する」なのだ。
 このアクションマスから地図上に旗を移動していくわけだけど、でも全部使うわけではなくて、1本残す。この残ったマスの特殊効果が得られるんである。
 これは新しい気がする。
 アクションマスから順番に旗を動かしていく過程で、他のプレイヤーがどのアクションを狙っているのか、だんだんと絞られていく。この過程のインタラクションはたしかに新鮮だし、おもしろい。

 まあこのゲームに関しては、この独自システムはちゃんと機能しているものの、活かしきれているかどうか怪しい。
 手番順の効果が非常に強く、各ラウンド1番手のプレイヤーはかなり不利。というのはまあ、順番がラウンドごとに変わるからと思えばいいのだけど。
 もうひとつの問題は、次のラウンドに持ち越すものがほとんどないというところ。いちおう資源を少しだけ持ち越せるけど、それ以外はすべてリセットする。建物カードにも特殊効果などはいっさいなく、ただ得点があるだけだ。つまり、たとえば1ラウンド目で10点差がついたら(じっさい、手番順の優位がこれくらいありうる)、2ラウンド目というのは、10点のハンデを背負って新たなゲームをはじめたのと同じ。なのである。
 そこはさすがに問題かなあ。もちろん、1ラウンドで10点先行されることがあるなら、逆もあるわけだけど。だから間違っているわけではないけど、プレイヤーの心証として納得できるかなあ。
 他にも、建物の獲得方法はこれでいいのかとか(手番順の有利不利を増幅してる)、いくつか疑問がある。

 とはいえ「逆ワーカープレイスメント」には可能性を感じた。ここのおもしろさをもっと強調できる気がするし、そういうゲームやってみたいという気にもなった。
 おもしろいことしてる実験作、というのが率直なところかなあ。

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