遊星ゲームズ
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トランスアメリカ
 ボードゲーム

2004.5.16 てらしま
トランスアメリカ
Winning Moves
F-B.Delonge
2-6人(最適5-6人)
30分

 5、6人でやるわりと気軽なゲームとしては悪くない。完全に運次第のクソゲー? まったくそのとおりだが、まあパーティーゲームだと思おう。それにしてはいまいち雰囲気がないのは欠点だが。
 アメリカの地図の上に鉄道を敷いていくゲームである。
 鉄道を敷くゲームと書いたが、そういって『1830』などを思い描いてはいけない。鉄道ゲームというより、線路を置くゲームといった方がいいかもしれない。
 やることは本当に線路を置くだけ。まず5箇所の目的地カードが渡され、そのすべてを一つの路線でつなげたプレイヤーが、ラウンドの勝者となる。自分のターンにすることは線路を2本敷設すること。自分の路線しか延ばせないが、他プレイヤーの路線と繋がったら一つになってしまう。結合すれば人が敷いた線路を全部使えるわけで、自分の勝利が大きく近づくのだが、もちろん他人も同様なので考える必要がある。
 いかに他人と協調し、また他人の伸びを遅らせるかという判断が重要なゲームということになる。のだが、各プレイヤーの目的地は秘密なので実際はそれほど真剣に考えない。
 よくわからないのは、これを数ラウンドに渡ってくり返すという点だ。ラウンドが終われば盤上の線路はすべてとりのぞかれ、目的地も配りなおして始めからになる。一体どういうこと? 複数の時間線が存在するのか、するとプレイヤーは時間をも支配した神のごとき鉄道王なのか。
 というよりも、つまりこれはゲームなのだということに気づくしかないわけで、そのへんのいいかげんさもいいとところではあるのだが、鉄道ゲームと聞いて覚悟を固めて始めると肩すかしを喰ってしまう。わたしも始めはそうだった。そのせいで、なにが楽しいのかわからなったのだ。
 つまり、「アメリカの地図を使って鉄道を敷く」という題材の選び方が間違っているんじゃないのという気もする。しかし地形や地名がアメリカだからこそ親しみやすいという気もする。
 このページでは何度も書いていることだし、今さらなのだが、始めからゲームと割り切る姿勢が必要なゲームだ。
 さて、おもしろいのかといわれるとおもしろいとは思う。目的地カードから、盤上の目的地を捜すのが少し面倒なのだが、それもある程度憶えてしまえば問題なくなる。
 複数人がからんだ単純な駆け引きが、盤面のみで、会話を必要とせずに行われる、よくできたゲームの可能性は見せている。運がないと勝ちようがないのだが、数ラウンドに渡り同じことをくり返すので、がんばっていれば報われないこともない。少なくとも信じてみることはできるので、ゲームの面では、まあ少々パーティーゲーム気味ではあるが、楽しい。
 間違った行動をとったプレイヤーはほぼ確実に脱落するのだし、考えなければならないのは確かなのだ。
 問題はやはりイメージのなさ。でも鉄道ゲームと聞いて1830を思い出さない人には抵抗もないだろう。鉄道ゲームなのに、鉄道に対する執着がない方が受け入れやすいんじゃないか。やはりなにか間違っていないかね。
 ほとんどの場合、最後にはすべて一つの路線に繋がってしまう。そうするとアメリカの鉄道網が完成するわけで、ラウンドが終わってみて初めて、このゲームが鉄道のゲームだったことに気づくという感じだった。でもすぐに盤面がリセットされて次のラウンドである。これでは鉄道ファンに勧めてもしょうがない。
 自分一人で進めてもまず目的達成はできない。だからいつか他人の路線と一緒にならなければならない。そのへんのジレンマが、単純なのに楽しい。でもいくら考えても、それをあざ笑うようにあっさり上がられてしまったりする(というかその方が多い)、そのあたりはけっきょく運なのだが、気楽でいいとも思う。今ではこのゲーム、わりと嫌いではない。
 ただ、メジャーリーグのファンでアメリカの地名を知っているとかでない限り、日本人にとっては目的地が表示されてわかりやすいオンラインでのゲーム(to.jpgBrettspielWelt)の方がいいという話もあったり。
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