遊星ゲームズ
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ファブ・フィブ
 ボードゲーム

2005.5.15 てらしま
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Spartaco Albertarelli
KIDULT GAME
3-10人(?)
30分

 なんか最近はやりの?嘘をつくゲームである。でもこの手のブラフ系ゲームの中ではかなり良質だ。
 まず、ラウンドのスタートプレイヤーに3枚のカードが渡される。カードには0〜9の数字が書かれている。この数字を大きい方から並べ、3桁の数を作って、宣言する。例えばカードが2と9と5なら、「952」。3と9と3なら「933」である。
 で、そのカードを下家に渡す。渡されたプレイヤーは、カードを見る前に、その宣言が嘘か本当かを考える。嘘だと思ったら「嘘だ!」といってカードを表にする。嘘だったら嘘をついたプレイヤーが失点、本当だったら渡されたプレイヤーが失点である。このあたりはブラフと同じ。
 カードを受けとってしまったプレイヤーは、手にきたカードを好きな枚数、山札と交換することができる。もちろん、引いてくるカードはランダム。で、またなにか3桁の数を宣言して下家に渡す。ただしこの数は、上家の宣言よりも大きくなければならないのである。
 もちろんだんだんと苦しくなっていくので、そのうち嘘をつかなければならなくなる。そのへんもやはりブラフと同じ。
 違うのは、選択肢の幅が大きいことだ。嘘だというかカードを受けとるかの選択はもちろん、何枚交換するのか、なんという数を宣言するのか、とにかくさまざまな戦略を考えられる。
 極端な話、いきなり嘘をついて「988!」などととんでもない数を宣言してみてもいいわけである。あるいは「1枚交換します〜」といって9を捨ててしまうとか。
 そして、なんと本当にそういう作戦が成立しうるのである。
 ここがおもしろい。下手に半端な数で回すよりは「988」の方が信用されやすいかもしれないし、9を捨てておいて900番台の数を宣言すれば、実際は全然そんな数ではないわけだから、下家は嘘をつかざるをえなくなる。ちゃんと意味があるのだ。
 もっともそんな極端な行動は、あまりやっていると痛い目を見るに決まっている。しかし意味がある以上、やることが間違いというわけではない。
 選択肢が多いということは、それだけ、プレイヤーの思考が反映されやすいということ。同じカードが回ってきても、人によってやることは全然違う。こういったブラフ系ゲームでは、けっきょく判断材料が少なすぎてジャンケンをやっているのと変わらないことが多いものだが、このゲームではそうならない。
 嘘つきゲームは基本的に好きなのだが、少し物足りないという感じがずっとあった。最終的に判断材料が減っていき、ジャンケンになってしまうのが気に入らなかったのだ(それでもブラフはおもしろいと思うし、好きだが)。
 ファブ・フィブは、それを解決してみせたのである。そうか、足りないのはプレイヤーの選択肢だったのだ。
 嘘か本当かの2択ではなく、嘘のつきかたにもいろいろあるのである。騙されてもリスクが少なそうに見える嘘、いかにももっともらしい嘘、あまりに極端すぎて嘘とは思えない嘘など。一度など、前の宣言よりも高い数字を引けなかったので、しかたなく「777」と宣言してみたら通った、なんてこともあった。
 考えれば考えるほど、慣れれば慣れるほど嘘のつきかたにバリエーションが生まれる。性格の悪い人間が強いゲームだ。が、それはそもそも嘘をつくゲームなわけだし。
 いろんな嘘を考え出すと強くなれる。嘘つきゲームという表現がぴったりである。
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ファブ・フィブを