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マリア様がみてる チャオ ソレッラ!
 読書

マリア様がみてる チャオ ソレッラ!
今野緒雪 集英社コバルト文庫

2004.4.2 てらしま

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既刊の評
マリア様がみてるシリーズ
マリア様がみてる レイニーブルー
マリア様がみてる パラソルをさして
マリア様がみてる 子羊たちの休暇
マリア様がみてる 真夏の一ページ
マリア様がみてる 涼風さつさつ
マリア様がみてる レディ、GO!
マリア様がみてる バラエティギフト
 
 こういうシリーズを読んでいていいことは、定期的にページ更新の機会が与えられることだ。ずっと更新をさぼっていても、マリみての新刊が出れば読むし、書評も書けるのである。
 だが。今回ばかりは、本気で見なかったことにしようかと思った。
 前に、1巻を読んだ友人が「読み終わってもなにも残らなかった」と感想を述べていた。その感想は、まさにこの巻に与えられるべきものだ。
 修学旅行の話である。わたしのころは京都とか大阪とかそんなもんだったが、そこは今時の高校。それにそういえばお嬢さま学校だった。行き先はイタリアなのである。
 まあそういう話だ。あらすじがということではなく、ネタバレもクソもなく、これがすべて。
 イタリアに修学旅行にいったぜいと、いつもの前書きのあとにそれだけ書いてあった。
 あとがきによれば、取材にいったらしい。その旅行記の登場人物を変えて本にしたんだろう。
 もう読んだものが右目から左目に抜けていく感覚である。
 マリみてのシリーズを通して読むなら、この巻は飛ばしてもまったく支障がない。
 まあ、こういうのを書くのも簡単じゃないと思うわけではある。登場人物それぞれの存在と行動原理がすべて前提として存在し、とりあえず彼女たちがいるだけである程度(ある程度だ)はいいかと思わせることに成功しているから書ける話だ。しかも、その登場人物の性格に、1冊を通して違和感が一つもない。
 成功したシリーズの特権と思って目をつぶればいいのかもしれない。けっきょく読んでるし、次の巻も買うだろうわたしのような人間がなにをいっても空しいだけなのではある。
 そういえば、アニメが最終回を迎えた。最後までどこを面白がらせたいのかぜんぜんわからない、あえていえば作っただけのアニメだった。原作シリーズの最新刊を読んでアニメと同じ感想をもってしまったのでは、これはやるせない。
 一応あんなアニメでも見て原作を読もうと思う人があるかもしれない、そういう時期にだ。いや、人気がなくなることは問題ではない。でも、アニメ化をきっかけに、人気と共に作品の勢いも急降下してしまった作品を、我々はいくつも知っているのである。
 さすがにそろそろ妹の話を書く覚悟ができたはずと信じたいのだが、そのときにどうなるのか、もう不安を煽るような展開がずっと続いている。


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