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マリア様がみてる レディ、GO!
 読書

マリア様がみてる レディ、GO!
今野緒雪 集英社コバルト文庫

2003.11.3 てらしま

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既刊の評
マリア様がみてるシリーズ
マリア様がみてる レイニーブルー
マリア様がみてる パラソルをさして
マリア様がみてる 子羊たちの休暇
マリア様がみてる 真夏の一ページ
マリア様がみてる 涼風さつさつ
 
 そもそも入手に手間どった。近くの本屋にいっても見事に売り切れてるし。それも、その日は三軒も回ったのにさ。
 でようやく後日、四軒目で手に入れたわけなんだが、もはやこうなると、まともにレビューを書く意欲というものが減退してくる。アニメ化も決まったしね、少女文庫なのに男どもが喜んで読んでるしさ、そりゃあ好きなシリーズだから人に勧めたこともあったが、こう流行ってしまうと、元来がひねくれ者の心根としてはなんとなく、やだなあと思ってしまったりもする。
 ブームのためか、刊行ペースがかなり速くなった。近刊がどこか微妙だったのは、そのあたりのことも関係してるのかもと思えてしまう。やっぱり人気出ちゃうとダメだねとか、いってみたくなる。
 よく考えてみれば、毎回コンスタントに高い完成度を維持してきたシリーズじゃないわけだし、そもそも完成度だけの作品だったらこれほど熱狂的なファンはつかない。
 スポーツと同じだと思う。今やってるワールドカップバレーでいえば、今回の日本はおもしろい選手が多くて楽しいと思うのだが、その中で、人気が出そうな選手といえば断然、栗原なのだ。
 この人、見てるとなんだかミスも多いのだが、プレイに華がある。すごいことをやると、たしかにすごい。バレーボールバカという感じの顔もいい。完成した完璧な選手と同時に、そういう選手にも人気が集まるのは、一つの法則といっていい。
 サッカーでいえばバッジョ。野球なら松坂。つまりファンは試合結果以上に、その選手に感じる可能性を見ている。
 そういう意味も含めた、マリみての魅力であったはずなのだ。
 だから、いまいちだった回はミスなのかもしれないが、それで魅力が減退するわけではない。まして、人気が出たからつまらなくなったとか、そんなことも関係ない。受けとる側の心境が変わっただけのこと。
 屈折したファン心理という奴だろう。私はマリみてだけでなく、今野緒雪の本を全部持っている。だから自分は特別だと思いたいのだが、もちろんそんなものは関係ないし、そもそも特別な読者ってなにさ。
 私もそういうものにつかまっているわけである。第三者から見れば、そんな根性こそ「やだなあ」だろう。
 しかしまあ、最大のクライマックスであった『パラソルをさして』以後、四冊も使って再構築を試みてきた世界観も、だいぶ落ちついてきた。正真正銘の新レギュラーとしては、実はシリーズ初であった可南子も、この巻でようやくマリみて人の一員となれた感じである。
 久しぶりに安心して、最後まで普通に楽しめた。
 今回のネタは体育祭。この作者もひねくれ者だと思う。次は学園祭だろうと読者がみんな思っているところで、あえてそこを外してくる。このあたりも、ファンタジスタの条件の一つだ。
 これはよかった気がする。
パラソルをさして』で、主人公の祐巳が抱えていた最大の問題を解決してしまったとき、キャラクターたちが織りなす世界観は一度カタストロフをむかえた。そもそも、あれでシリーズを終わりにしてもよかったはずだ。
 だが続いた。続いた以上、そこから、おそらく主人公が妹を作る学園祭に向けて、もう一度いちから作りなおす必要があった。というか、そうしてもらわないと読者として納得できる展開にはならない気がした。
 今回の話で、どうやらその準備は整ったんではないか。新たな世界観が見えてきたと思う。
 その世界の中で、「次こそはあの話」という期待がまだ持続している。新しい世界での「重い方の話」はどんなものになるのか、早く見たいと思っている。
 よく裏切られるが、すごいことをやるとたしかにすごい、マリみてのポテンシャルを読者は知っているのである。


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