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マリア様がみてる 子羊たちの休暇
 読書

マリア様がみてる 子羊たちの休暇
今野緒雪 集英社コバルト文庫

2002.12.27 てらしま

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既刊の評
マリア様がみてる
マリア様がみてる レイニーブルー
マリア様がみてる パラソルをさして
 
 私がこのシリーズに本格的にはまるようになったのは、4巻目『ロサ・カニーナ』の後半「長き夜の」を読んでからではなかったかと思う。この話、物語中での時期としてはちょうどお正月で、冬休みにお姉さまの家にお泊まりにいった、という、なんというかどうでもいい話なんだが、だらだらと一緒にトランプをやったとか、そんなのがなぜか楽しくて、それから続きが楽しみになっていったのだ。
 今回は2年生の8月。だから今度は夏休みなのである。「長き夜の」に似た感じの、まったりとした話を期待して読んだのだが、はたしてそんな話だった。
 お金持ちのお姉さまの家はもちろん、避暑地に別荘を持っていて、今回はそこに遊びにいこうと誘われるわけだ。
 前2巻はシリーズ中最大の山場の一つだった。ずっと抱えていたコンプレックスのためにお姉さまと喧嘩をしてしまい、主人公は自分でそれを克服していかなければならなかった。
 そんな話の後で、今回はちょっとした小休止というところか。
 主人公は自分のコンプレックスをひとまず克服してしまったので、大きな問題も起こりようがない。
「今はストレートに気持ちを伝える方が気持ちいいってわかったから、ため込むのは身体に毒だってわかったから、祐巳はそうすることにしたのだった。」なんて一文があって、私としては少し驚いた。だってそれをいっちゃあお終いというか。それができないからいままでのドラマが起こっていたのだし、主人公がここまでの悟りをひらいてしまったら、それはもうこのシリーズの結論なんじゃ……。
 これから先、いったいなんの話をやるんだろう? と、いらぬ心配を持ってしまう。
 だが、まあ当面、夏休みは遊んでいればいいわけである。ごく普通の一般庶民が大金持ちの別荘に遊びにいったのだ、ちょっとした問題も起こらないではないが、いまの主人公に敵はいない。
 ちょっといやな視点だが、そうした主人公のスーパーマンぶりを確認するのが、今回の趣旨なのだと思った。つまりコンプレックスを克服し、人間的に成長した主人公ならば、少々の困難は自分で克服できる、というそのことを確認したのだ。ついでにいえば、これはこのシリーズの世界観そのものでもあると思う。


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