モラルハザードという言葉を「道徳崩壊」という意味で使う場合、それは「ニッポンの道徳がやばいよー。だからみんなちゃんとしろよー」といっているわけなのだろうが、こうした議論には意味がない。じゃああんた、日本人全員を一人一人説得して回るつもりかよということだ。
これは困った老人がよくやってしまう議論。でも一般的には正論なので反論しづらいのが最大の問題だが、それはまた別のお話。
対して「本来の意味」といわれている使い方をした場合、これはもう、専門的すぎであまり用途がない。ちょっと拡張した使いかたはいろいろできるが、そうするとすぐに「道徳」という間違った方向に向かってしまう。言葉のイメージがそうなんだからどうしようもない。
なんとも、できの悪い専門用語だ。余計な議論に発展しちゃいそうだし、使わないほうがマシですな。
ということはだ。つまりこんな言葉はいらないんじゃないか。これを聞いたら全部聞かなかったことにしちゃえばいいんだねー。
数日前テレビでこの言葉を聞いて、そんなことをふと思った。今度からは無視しよう。