2006.02.21 18:23 てらしま
導入に十ページ、その後それぞれのキャラクターの紹介が百数十ページほどあって……、そういえば導入でいっていたメインストーリーが動き出すと、最後の百ページほどでその話をやって、
一応全員が登場するアクションシーンぽいものがあり(でもそのために妙に冗長)、もちろん一番強いのは主人公で、それが終わるとほのぼのハッピーエンドで……。
なんだろう。こういうのを教えてる学校でもあるんだろうか。
ライトノベルを書くためのチェックシートがたぶんあって、その項目を一つ一つ埋めていくとこういう小説が書きあがる。
ストーリーには一つも意外なところがなく、導入部でいっていた敵がやってきた、というだけ。物語を追うだけならば二十枚で充分(ただしそれじゃつまらないだろうけど)。
つまり、そのチェックシートにストーリーの完成度というような項目はない。それでも電撃の小説はなりたってしまうということだろう。
キャラクターは立っているといえば立っているけど、もっとも描写の多い主人公に隙が多い。おそらく、書けば書くほどぼろが出る系。でもまあ、この長さならばまだ生きてるので、決してつまらないわけではない。
サキュバスとか、バンシーとか、あっけらかんといろいろ出てくるファンタジーである。
主人公のバンシーがメイドとして仕えるご主人さまはヴラド・ツェペシュ(つまりドラキュラ伯爵)。実に直球である。
バートン=ブラッドベリ系にはお決まりのデュラハンや魔女も出てくる。
そうした妖怪に対するうんちくが、ときどきやけに細かい。たぶんウェブ検索するとそういう説明が出てくるだろうというような。ウェブというのは便利なツールだ。普通、文章を書くときというのは、そのために調査した資料の数パーセントしか使えないものだが、ウェブでは、説明がほしい場面にあわせてピンポイントで調べることができてしまうのだ。そうしてとりあえずでも説明してしまえば、あとはある程度の文章力があればそれなりに説得力のある世界観を構築できてしまうのである。
という感じの……。
電撃文庫を読みなれている人にはもう説明する必要もないのだと思う。そういう小説である。マニュアルどおりというか、目立った欠点がない代わりに華がないというか、感想を述べようがないというか。
これって、おもしろいのかなあ。たしかにつまらないとは思わなかったけど。
キャラクターに萌えろって? そういうことならもう一歩。