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オルガスマシン
 読書

オルガスマシン
イアン・ワトスン 大島豊訳 コアマガジン

2001.8.9 てらしま

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 男に奉仕するために作られた「カスタムメイド・ガール」たちが、自由を求めて活躍する話。……なのかなあ。
 フェミニズム小説ではあるんだが、作者は男だし、他のところでフェミニストらしい発言をしているという話も聞かない。そもそもこの小説、読み終わった感想として、現代社会に対する問題意識から書かれたとは考えづらいものがある。そういうことよりももっと、登場人物の成長していくさまとかいった、話のおもしろさの方に重点がある。
 まあともかく、そういう話なのではある。
 とりあえず、読んで満足はした。おもしろかったし。それはまあ確かだ。
 あとがきを読めば処女長編と書いてあって、なるほどと思った。とりあえずカスタムメイドメイドガールというネタがあり、あとは勢いでおもしろい小説を書いたんだろうなあ、という感じ。どうもまとまりのない各エピソードも、それぞれに勢いがあり、考えてみればかなり変なことを言っているんだけど、納得させられてしまうのだ。
 例えば、主人公ジェイドを買った最初の相手は、ジェイドに様々な「人皮」を着させてセックスの相手をさせる。「人皮」はどうやら本物の人間から剥いだものかもしれないというのだが、いや、ちょっと待てよ? 一体どうやって?
 しかし、科学考証がどうとかそんなことを指摘すべき作品ではないのだから、こういう点は無視すればいいわけなのだ。実際、それが気になるということもなかった。
 さてしかし、戸惑ってしまうのは最終章なのである。
 確かに、フェミニズムかと思えばそうでもないし、『動物農場』とかみたいな一発ネタユートピア小説なのか(強い風刺の意図はあまりなさそうなんだが)、と理解しかけていたところで、不意に最終章が現れる。
 そうかそんな話だったのかあ。
 個人的にはあまり納得できないのだが、確かにまあ、強力なメッセージ性を持たせずにあの話をするなら、これもアリなのかなあ。


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