遊星ゲームズ
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世界の七不思議というドラフトゲーム
 日記

 このゲーム、ちょっと注目したいんである。
 なぜなら。自慢じゃないのだが、わたしが同人ゲーム作るにあたって検討したものの中に近いものがあったから。これはもう、世界中のいろんな人が考えたのだと思う。そういう気がするのである。
 その中でたまたま、いいかたちでデザインされ完成までこぎつけたのが『世界の七不思議』だった。そう思う。
 いやもちろん、そこに注目し、デザインし、いいかたちで完成させた作者はたたえられるべきだが。偉そうに「俺も考えてた」なんて上には書いてるけど、わたしや他の同じことを考えてた連中は、まだ作っていないのだから。

 ドミニオンを最初に見たとき、マジック・ザ・ギャザリングのプレイヤーとそうでない人との間には少し、見方の違いがあったと思う。
 マジックプレイヤーたちがあのゲームを見て最初にいった言葉は、例外なく「ドラフトだね」だった。
「ドラフト」。この言葉、トレーディングカードゲームをしないかたにはあまり、馴染みのない言葉だろう。
 いろいろあるのだが簡単にいうと。カードを買って、その場ですぐに遊ぶためのルールだ。
 プレイヤーそれぞれがパック(マジックの場合は1パック15枚)を買い、開ける。中に入っていたカードを見て、自分が使うカードを1枚とり、左のプレイヤーに回す。
 それを全員でやるから、右のプレイヤーからも同時にカードが回ってくることになる。次は14枚のカードから1枚を選ぶ。その次は13枚。これをくりかえし、最終的に15枚のカードを選びとることになる。
 じっさいはこれを3パック分くりかえすのだが。そうして選んだカードをつかって、即興でデッキを作って戦うのである。
 そうした遊びかたが、トレカゲーでは盛んにおこなわれている。
 プレイヤーにとっても楽しいし、ショップにとっても、なにしろパックを買ってもらえるというわけだ。トレーディングカードゲームの市場的な成功に、もっとも大きく寄与した要素だったといっても過言ではないだろう(そしてボードゲームにはできないことだ)。
 そのドラフトにもいろいろある。上に書いたのは、とったカードを自分だけが見ている方式。マジックの場合「ブースタードラフト」などと呼ばれていた。
 すべてオープンして選ぶ方式というのもある。「ロチェスタードラフト」だ。
 要するに「ゲームのためにカードを選ぶ行為」があれば、それはドラフトなのだ。トレカゲープレイヤーにとっては、自然な概念として。
 もちろんドミニオンも、ドラフトそのものだったのである。

 ドミニオンはデッキも使うし、トレカゲープレイヤーにとってなじみ深いゲームだった。いわずもがなのことだが、ドミニオンを広めたのは彼らだ。それまでのボードゲームプレイヤーだけでは、ここまで広まりはしない。
 そのために、ボードゲームプレイヤーとトレカゲープレイヤーとの間に文明の衝突があったりもしたのだが、それは別の話。
 ここでいいたいのは、トレカゲープレイヤーはドミニオンをドラフトだととらえていたということである。
「デッキ構築」ではなかったのである。
 たぶんいま、ドミニオンクローンが「デッキ構築ゲーム」として売り出されていることに、違和感を持っている連中もいるだろう。それはそういうことではないかと思う。

 トレカゲーはいまも、ボードゲームよりはるかに大きい市場を持っている。が、かつての大流行のころほどではない。「トレカゲー経験者」という層が、市場にあふれている。
 そういう時代背景のもと、ドミニオンは大流行した。
 では、現代の「ドミニオン年代」において、次の売れ線を目指すゲームはなにか。
 当然そういう話になる。そこで、最初の話だ。
『世界の七不思議』が登場したのは、まったくのところ必然だ。これはドラフトゲームなのだ。それも、おそらくもっとも遊ばれているだろうブースタードラフト形式だ。
 こういう流れを感じていたのはたぶん、ボドゲ畑というより、トレカゲー畑に足をつっこんでいるだろうけど。ドラフトゲームには、はじめから可能性を見ていたと思う。
 当然『世界の七不思議』のデザイナーもそうだろう。ドミニオンの後を追ったいわゆる「デッキ構築ゲーム」よりも、ドミニオンの本質を正しく見ていたという可能性がある。

 ドラフトゲーム、まだ出てくると思っている。「デッキ構築ゲーム」なんてもう古い(のかもしれない)。


ジャンプ -2011/02/13 14:19
私はマジック含むトレカ経験者ですが、むしろドミニオンを「デッキ構築ゲームだね」と思いました。今までのドラフトゲームとは異なり。
ドラフトゲームはそれこそ、操り人形や、妖精奇譚の頃からあったと思うので、ドミニオンはドラフトよりデッキ構築の方をゲームにしたところが斬新だなと。


てらしま -2011/02/13 22:11
 どうもです。
 そうですね。操り人形妖精奇譚もたぶん明らかにTCGからの輸入です。あれと比べれば、ドミニオンはドラフトというよりも「デッキ構築」自体をゲーム化した印象になりますね。斬新だったと思います。
 いわれて思いましたがたぶん、そうした過去のボードゲームを意識していないTCGからの視点だと、デッキ構築の過程がゲーム化されていればだいたいのものがドラフトなんだと思います。そのあたりは、ボードゲームプレイヤーとは少し用語の使いかたに違いがあるのかなあと。


世界の七不思議というドラフトゲームを