遊星ゲームズ
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妖精奇譚
 ボードゲーム

2005.2.8 てらしま
妖精奇譚
遊宝洞
中村聡
3〜6人
30分

 中村聡が作った、と聞けば誰でも納得する、ドラフトのゲームである。ドイツでもマジック・ザ・ギャザリングの影響が色濃いゲームが次々と話題になっていて、そんな様子を見ていた日本人が「へー、あんなのでいいんだ」とばかり作ってみた、というイメージだ。
 まず、各プレイヤーに5枚のカードが配られる。それでドラフトをやり、最終的には5枚の手札を得ることになる。
 カードには得点が書かれている。もちろんただの得点ではなく、他のカードと組み合わせないと得点にならないとか、カードを裏返したり表にしたり、特殊効果つきのカードが大半を占めている。
 で、とったカードの中から3枚を場に出す。これを4ラウンドやって、最終的に得点がもっとも高いプレイヤーの勝ち。
 とまあ、ルールは非常に簡単なのだが、ちょっとわかりにくいところがある。カードの効果はすべてアイコンのみで指示されているのだが、これがかえってわかりずらい。せめて日本語のテキストを加えてほしかった。まあたぶん、外国に輸出することも考えたデザインということなのだろうが。
 とはいえ、2、3回やって慣れれば苦にならなくはなる。テンポよく進むし、つまらないわけではない。
 さて、ゲームをやっている感じとしては「あっさり」である。考えてみれば、マジックでドラフトをやるときは15枚から選んでいるわけで、例えば2周目になにが残ってくるのかというところまで考慮に入れる必要がある。しかしこれはたったの5枚。人数が多めだと2周目はなくなってしまう。どうしてもマジックと比べてしまうから、印象がちょっと淡泊なのだ。
 他人に干渉できる部分が少なく、考えてもしかたないという場面が多い。いや、ドラフトをやっているのだから干渉が少ないなんてことはないのだが、なにしろ見えていない情報が多い。必死で人を邪魔しようとしても、けっきょく我が道をゆくプレイヤーが勝つ。引き運も大きい。だからすぐにみんな他人のことをあまり考えなくなるし、それで大きな影響があるわけでもない。
 なにしろ、100枚ほどあるカードのうち配られるのは5枚。ソートが決まっているわけでもない。見えないところで他人がなにをやっているのかなんて、考えたところで数パーセントの効果しかないのだ。
 完全にドラフティングに特化したデザインになっている割には、ドラフトのおもしろさを再現しきれていない、と思う。こういってはなんだが「操り人形」の役職選びは考えるべき点が多く、秀逸なものだった。あれくらいの深みがほしいところだ、と思う。
 複数枚のカードを組み合わせる役づくりのゲームということになる。ラミー系ということか。そうすると、例えばだ。カード一枚一枚に麻雀の牌の絵が描いてあって、それで同じようにドラフトで役を作っていくゲームだったらどうだったのか。まあ多少、細かいルールに変更は必要だろうが、ひょっとしたら、妖精奇譚よりもこの「ドラフト麻雀」の方がおもしろいんじゃないかという気がしてしまう。
 別にやっているときは楽しめるのだが、淡泊すぎてゲーム自体の印象がほとんど残らない。一番の問題はそこだろう。注目すべき点が、まったくないのだ。だからつい、他のゲームと比べたくなるのである。
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妖精奇譚を