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少林サッカー
 読書

少林サッカー
 

2002.8.6 てらしま

 いろいろと無茶だが、かっこいい。かっこいいからそれでいいのである。
 特に私がいいと思うのは、どこからどー見てもダメ人間で、とても強そうには見えない連中が、目覚めてみたらそりゃもうかっこよく活躍するようになってしまうあたりだ。前半は「もういい」といいたくなるくらい彼らのダメさかげんが描かれ続けるわけだが、それが後半になると、どうやったらあれがこうなったのかと思うほど見違えてしまう。
 定型文のような手法ではあるが、てらいもなくそれを使いこなしている。素直にうまいと思った。
 見所はといえばむろんのこと、最終決戦である。少林サッカーチームは破竹の快進撃を続けていて(見る前からわかっている展開だ、ネタバレにはならなかろう)、圧倒的に強い。
 もはや敵はいないだろうと思った、そこに!
 現れるのである。しっかりと。見るからに恐ろしい、強っそーな敵が。
 ストーリーなんか始めから全部わかっている。『少林サッカー』というタイトルから、もはやすべてが約束されているといってもいい。それなのにわざわざ映画館に足を運んで、見たいのはかっこいいシーンだ。
 期待通りの展開に、期待通りのハデな演出。それが、しかし、燃えられたかどうかどうか。問題はそこだろう。
 はたして、この映画は文句なくかっこよかった。
 ルール違反? あんなのサッカーじゃない? まさしくごもっとも。でもいいのだ。かっこいいから。
 ストーリーは完全に予想どおりである。だが予想どおりだからこそいい。だれが『スターウォーズ』や『レイダース』に斬新な展開を求めるだろう。観客の求めるとおりのものを素直に提示して、しかもそれを楽しませる。けっきょくエンターテインメントというのはそういうものではないか。それが一番難しいわけでもあるが。
 こんな映画、久しく見ていなかった気がする。サビのシーンに派手なCGをつかわなきゃならなかったり、女性と黒人を登場させなきゃならないとか、ハリウッドの映画は近ごろ、制約が多くて大変だ。期待できるのはアジアという気持ちもよくわかる。そこに日本映画が喰いこんでこないのはどうも残念だが。
 いいのだ楽しければ。映画館でスクリーンを見つめている時間、燃えることができればそれでいい。重厚なテーマなんか余計だし、平和や愛を叫ばれても困るだけ。斬新な映像効果は疲れるだけだ。
『スターウォーズ エピソード2』を見てしまった今では、真剣にそう思う。
 まじめな話、私は『エピソード2』を見るべきではなかった。おもしろいはずがないじゃないか。たぶんルーカスはおもしろい映画を撮ろうとしていないのだから。そんな映画に金を払うのは、罪だと思う。
 客には客の義務がある。それは映画を楽しもうとすること、すなわちおもしろい映画を求めることだ。私は『エピソード2』を見ることで、この義務を放棄してしまった。
 罪を償う方法は『少林サッカー』のような映画をふたたび捜し出し、見ることだ。きっとそうするしかないのだが、これはあまり簡単なことでもない。


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