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Bad! Daddy3 パパのキッスはイチゴ味
 読書

Bad! Daddy3 パパのキッスはイチゴ味
野村美月 ファミ通文庫

2004.7.13 てらしま

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 いつもどおりである。さわがしいキャラクターがごちゃごちゃと暴れる話だ。
 野村美月のおもしろいところは、キャラクター一人一人にちゃんと愛情が注がれているところだ。大きく話に絡まなくても、余計な場面になってしまってもちゃんとキャラクターは登場させ、期待通りの動きをさせる。そのせいでまとまりがなくなっているようでいて、しかしメインの話を忘れないところがいい。
 もっとも、もともと短編でできる量の話にそうやって肉づけして文庫一冊分にしているという印象もないではないが、それもできない小説が多い中、野村美月のパフォーマンスは非常に安定しているのである。
 このシリーズ、キャラクターの行動パターンはもう完全に固定されている。3巻目ともなると、そのパターンから外れる場面はほとんどない。主人公のパパのことが好きなミュゼットは基本的にパパの横にしか登場しないのである。そういうあたりがこの安定感の原因なのだろうか。
 ただ、やはり3巻目。これだけどの登場人物も期待を裏切らないでいると、逆に飽きてもくる。物語としては2巻を一回り小さくしたような印象の巻だったと思う。
 しかも、これまでの巻と同じ調子で、謎も増える一方。そして次巻がもう完結編らしい。どうなるんだこの話。むろん、これくらいの量の謎は、解決しようと思えば文庫一冊で終わらせることができるだろう。でもそれをやってキャラクターの描写が減ったら野村美月じゃない。第3巻の今でさえ、ページ数の半分くらいはキャラクターの顔見せなのに、この調子できれいに終わらせるには、なにか、推理小説のような「ああっそうだったのか」のような展開が必要になる気がする。この人がそれをやるのか。やるんだろうな。


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