2005.1.7 てらしま
いや、思ったよりきれいに終わった。もちろん、多すぎる登場人物の中には充分に解決されなかった人もいるのだが、そこはまあ、主人公とパパの話がちゃんと解決されたからそれでいい。
同じ4巻シリーズとしては、卓球シリーズほどのきらめきはなくなっている気もするのだが、それでもこれだけのおもしろさがあるのだ。今さらだが、新人賞にありがちなフロックではなかったわけである。
サッカーではそうなんだが、しっかりと見てきた大きな大会の決勝戦にはもう書くことがなくなってしまう。決勝に進んだチームはすでにたくさんのエピソードを連ねており、その中で見事に勝ってきたチームなのである。決勝戦はすでに双方が勝者だ。そんなチームに、今さらなにを書いてもしかたない。
スポーツでいえば、寺山修司の言葉「勝者にはなにも与えるな」には大いに賛同してしまう。だから、決勝戦についていくら言葉を重ねても無意味に感じられてしまうのだ。
それと同じような意味で、この巻についてもあまり書くことがない。どーしようもなかったから書くことがない、というのとは違う。ちゃんと納得できる形で終わってしまったものに、批評がなにを書いても意味がないではないか。
強いていえば。読んでいない人に「読め」というくらいか。
ともかく楽しめたシリーズだった。野村美月を薦めるならむろん卓球シリーズを推すが、卓球シリーズが好きだという人がこのシリーズを読んでいないならそれはもったいない。