遊星ゲームズ
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プエルトリコ
 ボードゲーム

2003.10.14 てらしま
プエルトリコ
alea
Andreas Seyfarth
3-5人(5人)
3時間

 とてもいいゲームである。ボードゲームマニアには自信をもって勧められる。絶対にハマってくれるからだ。もっとも、そういう人はすでにプエルトリコの戦略について一家言もっているだろうけど。
 いいゲームなのだが、マニアじゃない人間にはとても勧められない。コマは細かくてたくさんあるし、資源の種類も、3時間ほどで終わるゲームとは思えないほど多い。システムもマニアックで、これまでのボードゲームの歴史を知らない人間には理解しがたいものがあると思う。
 これまでに発売されたいろいろなゲームの要素をとりこんでまとめたという感じになっている。しかも、参考にしたと思われるゲームはどれも、当時「斬新」だったキワモノばかり。
 具体的には、『操り人形』と『原始スープ』を合わせたようなものと考えればいいと思う。こう聞いて身を乗り出さない人というのは、「うげー」と思ったか、全然知らないかのどちらかだろう。そういう人は、なにもこんなゲームに手を出さなくていいと思う。
 プエルトリコにやってきた植民者たちが、農場や街を経営するゲームだ。管理するリソースは、人、建物、プランテーション、金、商品と、嫌になるくらいある。実際、さほどボードゲーム好きではない人にゲームを説明して「もうやめてくれー」といわれたことがある。本当は説明が一番大変なわけで、始めてみれば思ったほど面倒くさくはないのだが、でもやっぱり、細かいチットを何百個も箱から出されるとひいてしまう気持ちもわかる。
 ゲームの流れを少し説明しよう。
 自分のターンが回ってきたら、そこでどのフェイズを起こすか選ぶ。例えば生産フェイズならプランテーションから商品が生産され、建設フェイズなら街に建物を建てる。
 金を稼ぎ、プランテーションに人を配置し、商品を生産し、旧大陸に輸出する。そういったいろいろな行動を、プレイヤーが順番にフェイズを選ぶことでこなしていく。
 毎ラウンド、起こるフェイズとその順番をコントロールすることでプレイヤー間に差をつけていくゲームといえる。マニアックなのだ。
 選んだフェイズを全員がプレイするので、すべてちゃんと考えてやらないと大変なことになる。というより、考えないプレイヤーが一人いるとその瞬間にゲームが壊れるので、全員に迷惑がかかってしまう。このあたりも敷居を高くしているところだろう。
 ボードゲームには常につきまとう問題がある。それは手番の問題である。たとえば、互いに干渉することなく自分の得点だけを追っていくゲームなら、最初の手番のプレイヤーが明らかに有利だ。他人を妨害しようとするときは、たいていのゲームでは上家からやるのがやりやすい。そういう意味で、おざなりにされやすい最初の席決めは、実はもっとも重要なゲームの選択の一つといえる。
 プエルトリコは、その手番順の効果を減らすのではなく、逆に最大限に生かそうとしている。例えば、生産した商品を売るフェイズ。売る相手である商人は同じ商品を2つ買おうとせず、しかも全部で4つしか買ってくれない。5人でプレイした場合、一人は売れないわけで、順番を考えて誰が売れて誰が売れないのか、そういうことを常に考えなければならない。このゲームでは、一事が万事そういう選択になる。
 ターン制ゲームの理不尽な部分、ボードゲームの闇であったところにあえて光をあてた、挑戦的な作品といえるかもしれない。そういうゲームの本質に、興味があればおもしろい。コスティキャンのゲーム論とかを読んで喜んでるような危ない奴には、ぜひこのゲームをやらせたい。中毒性がありとにかくはまるし、定石研究が熱いし、近年で一番のおすすめゲームなのである。
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プエルトリコを