遊星ゲームズ
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ワイルドライフ
 ボードゲーム

2003.12.15 てらしま
ワイルドライフ
Clementoni・Wolfgang Kramer
2-6人(最適4・5人)
4時間

 コンポーネントが非常に悪い。カードはぺらぺらだし汚れてるし、サイズも、名刺サイズより数ミリ幅が大きいという微妙なもので、ちょうどいいカードスリーブがなかなかない。箱はムダにでかいし、内箱の仕切も意味不明。文字が書いてあるだけのチットがあったりと、プレイアビリティも悪い。
wairudoraifu.jpg 安くはない金を出して買った立場としては、いろいろと不満がある。
 だが、ゲームは斬新で、おもしろいのである。
 ルールを説明すると必ず笑いが起こる。これまでのゲームの要素を集めてきたようで、実はかなり違う、「ああ、そういうゲームね」と思っていると違うルールが説明されるから、意表をつかれて笑ってしまうのだと思う。
 生物の生存競争モノということで、『原始スープ』が思い出されるし、実際、考えてみれば同じようなことをやっているのだが、プレイ感覚はだいぶ違うのだ。要するにルールが変なのである。
 舞台はどこかの島。そこでは6つの動物が生存競争を繰りひろげている。ちなみに動物は、人、熊、マンモス、蛇、ワニ、鳥。なんかいかにも野蛮な感じのモノばかりを選んでいるあたりは、なかなかいい雰囲気。
 それぞれの種族には地形特性がある。6つの地形に対し、「行動不可」「移住可」「発展可」「攻撃可」と4段階の適応度が決められている。移住ではまさに移動することしかできないのだが、発展以上だと、いきなりそこにコマを置くことができる。
 基本的には、カードを使って盤面にコマを置いていく陣取りゲームだ。プレイヤーは一つの動物を担当して種を繁栄させ、成功ポイントを稼ぐ。
『原始スープ』と比較したくなるのは、やはり「能力カード」の存在。手番の行動回数が増える能力だの、毎ターン勝利点を2点得られる能力だの、とにかく信じられないようなものばかりで楽しい。
 この能力カードの取り方が、変だ。能力を得るときはまず自分の欲しい能力を宣言し、それが場に残っていなければ、なんと他人から奪うことができる。なにしろカードを使って宣言するだけで奪える。『原始スープ』とは違うゲームになっている、最大の要因はここである。
 まあ一事が万事、こんな感じのでたらめなルールばかりでできている。よくこれでゲームになってるなと思う。
 最大の特徴はオークション。各プレイヤーは自分のターンに、必ず一枚以上のカードをオークションにかけなければならない。オークションに使われるのは、3点で成功ポイント1点に変換することができる、食料チット。もし手持ちが足りなければ、足りない分は成功ポイントを売って(その結果マイナスにもなる)作ることができる。つまり勝利点をそのままオークションに使っているといっていいのだが、食料ポイントを多く持っているとボーナスがもらえたりもするのでよくわからない。
 オークションで競り落としたカードは即座に使う。つまり他人のターン中に自分の行動を買えるのである。またしてもなんともでたらめなルールだが、これがおもしろい。他人のターンに暇をしないし、このルールのせいでなにが起こるかの予想が非常に難しくなっている。
 とにかく、一つ一つの行動の影響が非常に大きく、1ターンでがらりと戦況が変わってしまう。基本的にプレイヤー間で攻撃し合うゲームだが、選択肢が多いだけに、一つの行動にどの程度の効果があったか評価がしづらく、あまりガチガチの真剣勝負という感じにはならない。そのくせ、基本的には『原始スープ』系なので、戦略研究をしてみたくなったりもする。
「テレポート熊」とか「頭のいいワニ」とかを作ってゲラゲラ笑うバカゲー、のようでいて、真剣勝負もできそうな気がする。このプレイ感覚は妙だ。
 デザイナーのウォルフガング・クラマーという人は、ガチガチにバランスを締めつけた『ティカル』のようなゲームを作る一方で、『6ニムト!』や『ヒューゴ』(別名ミッドナイトパーティー)のようなパーティーゲームを作ったりもする。真剣勝負とバカゲー、両方のおもしろさを知っている人なんだろう。ワイルドライフの奇妙なプレイ感覚は、この人だからできたものだ。
 いい例とはいえないが、個人的に思い出したゲームがある。ボードゲームではなく、ゲームセンターのビデオゲームである。
 それは『天外魔境真伝』。格闘ゲームなのだが、ハタから見ていると、体力の7割を一発で奪う必殺技があったりと、かなりバランスのおかしいゲームにしか見えない。しかし真面目にやっているプレイヤーは存在したし、実際、対戦がかなり熱いゲームだった。バランスもなぜかよくとれている。けっきょくあまり人気が出なかったのだが、熱狂的なファンはいつまでもコインを投入し続けていたし、専門誌では無理矢理に攻略ページを維持し続けていた。
 まだプレイ回数が少ないので結論は出せないが、ワイルドライフもそういうゲームなんじゃないかと思う。私は個人的にそういうのが好きなのだ。今はこのゲームをもっとやりこみたくてうずうずしている。cut4.jpg

to.jpgプレイチャート
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 ルールブックが不完全だし、解釈もさまざまの様子だなあ。まあとりあえずこういうのがないと日本人にはプレイできません。

ワイルドライフを