遊星ゲームズ
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「街系」ゲームをデザインしてみる
 ゲーム・論考

 いってるだけではアレなので。
 前回の話「ゲームの本質はプエルトリコにある」でいってたリソース変換ゲームの理屈を使って、ゲームを作ってみたらどうかと思った。
 まあせっかく単純な考えかたしてるわけだから、この考えかたをフレームワークにして拡張や調整が容易な作りにしたい。

 とりあえずよく見るロジックをてきとうに組みあわせて、単純なゲーム(↓)を作ってみました。
 ここで重要なのは、このゲームは完全に机上の理屈からロジックのみを構築したゲームで「どう考えたってキャッチーではない」というところ(orz)。
 ただし、調整の過程でわたしの主観が入ってる可能性は大きいけど。

 タイトルは、こういうゲームなら街の名前だろうけど……『ウド』とか『チバシティ』とかしか思いつきませんねー。とりあえずそれっぽく『スキゾシティ』とします。


『スキゾシティ Schizo-City Ver.0.1』 ルール
  • 概要
     以下、書きかたがちょっとわかりにくいかもしれないので概要。
     プレイヤーはターン開始時にリソースをひとつ選んで獲得します。これには「建物」「傭兵」「貴族」「株券」の4種があります(だいたい名前どおりの効果です)。
     手持ちのリソースによっては、ターン1回のアクションをおこなうことができたりもします。
     各リソースはそれぞれに違う計算方法で、なんだかんだで勝利得点である「coin_yerrow」を獲得することにつながります。
     これを10ラウンドやって、coin_yerrowをもっとも多く獲得したプレイヤーの勝利です。

     

  • コントローラ(ゲームの流れ)
    • プレイヤー人数は3〜4人。
    • 適当な方法でスタートプレイヤーを決める。ターンは時計回りに進行。
    • プレイヤーターン
      • ターン開始時ロジックを実行。
      • アクションを1回実行(しなくてもいい)。
    • 10ラウンドでゲーム終了。ゲーム終了時ロジックを実行する。
      coin_yerrowをもっとも多く持っているプレイヤーの勝利。

       

  • リソース
    • リソース
       coin_blue coin_red coin_green coin_white各12枚
      (ゲーム開始時)
       場にはランダムで7個を表向きに配置。残りは銀行。
      (獲得方法)
       場に出ているものをひとつ選び獲得。その後、銀行からランダムで7個になるまで補充される。

       

    • 勝利得点
       coin_yerrow。無制限。

       

  • ロジック
    • リソースの産出
      (ターン開始時)
       場に出ているリソースをひとつ獲得する(リソースの獲得方法にしたがう)。

       

    • 建物
      (アクション)
      coin_blueの数に応じて下表のcoin_yerrowを得る。
      coin_blueの数
       1・2 
       3 
       4 
       5〜 
      coin_yerrow
        1  
       2 
       3 
        4  

       

    • 傭兵
      (アクション)
       coin_redの数があなたより少ないプレイヤーを選ぶ。そのプレイヤーの持つcoin_yerrow以外のリソースをひとつ選び、あなたのcoin_redひとつと交換する。
      (ゲーム終了時)
       各プレイヤーはcoin_red×3点を得る。

       

    • 貴族
      (ゲーム終了時)
       各プレイヤーは下表にしたがってcoin_yerrowを得る。
      coin_greenの数
       1 
       2 
       3 
       4 
       5〜 
      coin_yerrow
       1 
       4 
       9 
       16 
        25  

       

    • 株券
      (ゲーム終了時)
      coin_whiteの所持数が1位のプレイヤーはcoin_yerrow×20、2位のプレイヤーはcoin_yerrow×10、3位のプレイヤーはcoin_yerrow×5を得る。
       同数のプレイヤーがいる場合は、該当の順位の得点を合計し均等にわりふる(端数切りすて)。

       


 なんかよくわからない書きかたしてますが、これはひとつひとつをオブジェクトとして抽象化したいからですねー。そうできないと、いろいろ理屈こねた意味がないのです。まあ、フレームワークの作りかたとしてはいろいろあるだろうから、これでいいとはいわないけど。
 さらにちゃんと抽象化してやって、マニュアルの自動生成とか調整用の戦略分析とかもできるようになるといいなーと思う。のだけど、それはまた別のお話。

 ていうか、ボードゲームプログラムで再現してオンラインでやる話とかこういうフレームワークの話とか、2chにスレもあった気がするし実際に作ってる人もどこかにいるだろうなので、あまり深く考えるつもりもなかったり。
 むしろ考えたいのは、システムをこういう方法で整理することでなにか見えるんじゃないかというところだ。

 というわけで、またやけに節操のないゲームができた。
「なにをやってもどこかで見たことのある」感がなんかいいかもと思ったり(笑)。

 これでも、いちおうの調整はしてるんです。簡単すぎるせいで、どこかに乱数を持たせないとゲームにならなそうだったから、リソース獲得ロジックをそれっぽくしたとか。インタラクションがあると調整が楽だから(プレイヤーは大変だが)微妙にムリヤリな攻撃ロジックを作ったりとか。
 やっぱり調整は必要だ。そこに時間をかけるほどおもしろくなるだろう、というところはやっぱり変わらない。システムにあったテーマと絵をつけないと誰もやってくれません。というあたりも同じ。
 フレームワークのクセみたいなもので、いかにも人為的なシステムになるとか「天才デザイナーのゲーム」を表現するには向かないだろうとか、そういうところはありそうだ。でも「ロジック」単位で調整するのだということに注力する手法はあながちまちがっていないように思う。

 というか、このゲームの出来はともかくとして、少なくとも、ボードゲームの数割を占めるだろうある種のゲームのテンプレートにはなってしまっている気が。
 ほら、よくある、タイトルが街の名前の奴。(「街系」と呼ぼう)
フィレンツェの匠』とか『ゴア』とか、(手間はかかっても)わりと素直にこの方法で考えることができちゃいそうなゲームもある。たぶん、考えかたとして似たような作りかたをしたんだろう。
『サンクトペテルブルク』なんていかにもだよな。

 で、とりあえず4つ用意した勝利点獲得ロジックです(単純化のためリソース獲得ロジックでは分岐させなかった)。これをどこまで減らしてもおもしろいのかとか、どの組み合わせならいいのかとか、考えたいけどその前にこのゲームがおもしろいかどうかだよな……。
 といったあたりで疲れたのでお開き(ぉ


「街系」ゲームをデザインしてみるを