まだ遊んでないものも多いし遊んだもの全部でもないのだけど、少し感想。
テーブルに5x5に並べられた25枚の星で交易したり侵略したりする。
やることは単純。「交易」か「侵略」を選び、一緒に対象の星の座標を選ぶ。X座標とY座標で指定するのだ。「C-1」とか。2枚のカードで座標を指定する。つまり「交易」か「侵略」のアクションと、座標カード2枚、合計3枚を手札から選び、伏せて出す。
全員がカードを伏せたら、いっせいに公開する。
交易なら、3コインをもらえる。また、さらにその星の発展度合いによって追加のコインがもらえる。発展度合いというのは、その星の上に置かれたコインの数のことで、これは交易すればするほど増えていく。
侵略の場合、コインを支払ってその星を獲得する。この獲得した星が、ゲームの目的である勝利点になる。星を獲得したとき、上に置かれていたコインはそのまま獲得できる。
侵略するためのコストは、その星と同じ縦列と横列にある他の星の枚数。最初は8コインかかるけど、場の星は侵略される度に減っていくので、だんだん安くなっていく。
バッティング的な要素もある。交易は複数のプレイヤーが同じ星にいっても大丈夫(その分その星は急速に発展する)なのだけど、侵略がバッティングした場合、その時点で所持金が多いほうが勝つ。
もうひとつ、これが一番重要なのだけど、プロットにつかった座標カードは自分の前に表向きに置いて、補充されるまで使えない。補充されるタイミングは、全員の手札が3枚以下になったとき。つまり例えば「C3」の座標の星に一度いったら、その人はしばらくの間、3行とC列の星にいけなくなる。それを考えた計画も必要だ。
各選択肢の価値が刻々と移り変わることと選択肢が減ることで、他人の狙いはかなり絞れる。侵略がバッティングするから、あえて少し狙いをずらしたりする。
最初のうちはどうなのかと思ったけど、数ラウンドやってみたら魅力に気づいた。とてもいい。今回の掘り出し物のひとつ。
高校3年間でもっともモテた人の勝ち、というテーマなのだけど、内容はガチガチのエリアマジョリティ。
テーブルに女の子が並んでいて、そこにコマを置いていく。各ラウンドの最後に、そのコマの価値の合計を比べる。各女の子には、1位から3位が獲得する得点が書いてある。『エルグランデ』みたいにだ。
正統なオールドスクールなドイツゲームという感じ。そこに、女の子の絵が書いてある。この日本らしい倒錯。だがそこがいい。
単純にコマの数を比べるだけではない。コマには色があり、色によって1~5の価値の差がある。「モテトレンド」という用語が使われているのだけど。このトレンドにコマを送ることで、その色のコマの価値を上げることができる。
女の子にコマを置くか、トレンドを操作するか、という選択がある。
また、一人の女の子に同じプレイヤーが2色のコマを置いていても、どちらか1色しか数えられない。
よくできたドイツゲーという感じ。ジレンマといいインタラクションといい。
キングメイカーが発生したりお仕事を強要されたり、そういうことはしょっちゅう発生するだろうけど、そこがむしろドイツゲー的魅力だともいえる。
みさき工房のゲーム好きなんですよ。絵ももちろんなんだけど、なんか独特なゲームデザインがある。
このゲームもとてもみさきっぽい。コンピュータゲームの世界をベースにそれをシンプルにまとめていて、でもどこか荒っぽいというか。その荒っぽさがむしろ好きなんだけど。もともと、きっちりまとまったゲームよりも少し荒いほうが好きだったりはする。
戦士と魔法使いのペアを作って、それでトーナメント戦をする。戦闘はダイス。戦士に3D+10とか書いてある。戦闘力の大きいほうの勝ち。
魔法使いは、MPを消費してダイスを振りなおすなどの能力を持っている。
もちろん、トーナメントに優勝したチームの勝利だ。簡単。
とにかくトーナメント表の描かれたボードが目を惹くし最大の特徴だ。ただ正直なところ、トーナメント形式がおもしろいのかというと、もっとおもしろい方式がありそうな気はする。一緒にプレイした人からは、バトルロイヤルでもかまわないんじゃない?という話も出ていた。
でもこのボードを見ればすぐにどういうゲームかわかるし、キングメイカーとか余計な問題が起こらないし。いいところもある。
ここのゲームも好き。個人的に注目のサークルだ。
絵といいグラフィックデザインといい、ずば抜けていい。プロの仕事っぽい。そこが一番いいところといえばそうなんだけど、でもやっぱり、ここも独特のゲームデザインがあると思う。
ギャルゲーのヒロインになって、主人公を篭絡するゲーム。ボードに3箇所ある場所にいって、そこで主人公と出会う。出会ったらイベントが発生する。イベントに勝利点が書かれている。
場所に移動したら、そこで「女子力」を消費して主人公を呼び込む。ここはオークションのようなシステムになっていて、もっとも多くの女子力が注ぎ込まれた場所に主人公がやってくる。
イベントには、主人公と2人きりにならないと発生しない代わりに勝利点が高いものとか、体力や女子力を回復する能力を持ったものとかがある。
1回行動すると体力が減る。休むと体力と女子力が1ずつ回復する。体力がないと休むしかなくなる。他のプレイヤーが休むタイミングは有利だ。だからそこを狙ったりとか。
イベントカードが、わざわざハガキサイズになっている。いかにもゲームの画面のようなデザインで、ヒロインが顔を赤らめている画像と、下にセリフが入っている。ハガキサイズカードって、ゲームとしては大きすぎて邪魔といえば邪魔なのだけど、たしかに雰囲気出る。このあたりのこだわりがとてもいい。
あと、各プレイヤーは裏の性格を1枚持っている。要は特殊能力カードだ。伏せているので他人には見えず、ゲーム中1回だけ使える。
もっと複雑でもおかしくない題材だけど、かなりそぎ落とされている。そのためにコンポーネントへのこだわりを捨てていないところがいい。
ゲームはそぎ落とせばいいというものではないと思う。このゲームの場合、ゲームとしては削りすぎの感が少しある。でもこれくらいの感じが、味になってもいる。
みさき工房といい3D6ゲームズといい、これは個人的な話だけど、プレイヤーとしての自分が同人になにを求めているのかがだんだん見えてきた気がする。いかにもドイツゲーとは違う、たぶん日本だろうなと思える感じが好きになってきた。
今回のゲムマ収穫品、遊んでてとても楽しい。自分の好みのゲームが増えている感じがある。今回はちゃんとサークルチェックして買いにいけたというのも大きいけど。
ちょっと思うのは。ドイツゲー好きなマニアが求めるものとは違ってきているということだ。ドイツゲー好きがドイツゲー基準で見たら稚拙なゲームということになるんだけど、それってたぶんものさしが違う。ドイツならこだわるところを無視し、ドイツなら考えもしないところにこだわったゲームが出てきている。それはもうそのデザイナーや日本のゲームといっていい気がする。
一方で、あえてドイツっぽいゲームもある。テーマがぜんぜん違っていたり女の子の絵が乗っていたりするからそう見えないのだけど、じっさいには、ドイツ以上にドイツらしいゲームというのもある。
そもそも日本人が思うドイツゲーって、いまのドイツにはあまりないのだ。だから逆に、同人ゲームのほうが、いまのドイツからは出てこないオールドスクールな作りになっていたりする。90年代ドイツの傑作と肩を並べるほどとはいわないが、完成度の高い作品も多い。それはそれで、他では手に入らない楽しみになっていたりする。
そんなことを思ったりした。