遊星ゲームズ
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エルグランデ
 ボードゲーム

2005.4.10 てらしま
エルグランデ
HANS IM GLÜCK
Wolfgang Kramer,Richard Ulrich
2-5人(4-5人?)
2時間30分

フィレンツェの匠』のクラマーとウルリッヒコンビ。96年の大賞受賞ゲームである。
 舞台はスペイン。プレイヤーは、その中の一領土の大公。九個ある領地に自分の騎士を派遣して、国内での自分の影響力を増やすのがゲームの目的だ。
 似た感じのゲームを捜せば、作者は違うが『王と枢機卿』である。このゲームも、実は傑作なのだが。
『王と枢機卿』の方が四年ほど後なので、あれは実は『エルグランデ』を単純化してみたゲームだったのかもしれない。各領土について「1位に何点、2位に何点」と得点が入るシステムは同じだから『王と枢機卿』を知っているプレイヤーは、効率的な得点方法がわかって有利だと思う。実はこの方式、少しだけ、直感から外れている。経験がものをいうシステムである。
 ちなみに、同じ作者のクラマーのゲームに『ワイルドライフ』がある。盤面にいくつかある土地について、配置されたコマの多寡で得点が入るシステムは同じ。得点計算タイミングも似ている。ただオークションがない分『エルグランデ』のほうが早く終わる。
 ラウンド開始時、五つの山に分けられた「アクションカード」がそれぞれ一枚、めくられる。プレイヤーはそれを見て「パワーカード」なるものを順番に出す。このパワーカードは使い捨てなのだが、ここで高い数字のカードを出したプレイヤーから、順番にターンをおこなう。
 このパワーカード、ストックから補充できる騎士コマの数も示されている。大きい数字のカードほど、補充できる騎士数は少ない。
 自分のターンがくると、場の五枚のアクションカードから一枚を選ぶ。ここには、盤面に配置できる騎士コマの数とともに、いろいろな特殊効果が示されている。
 あと「王さま」という大きなコマが一つ、盤面に配置されている。これを動かすアクションカードもあるのだけど、騎士の配置には「①王さまのいる領土には配置できない」「②王さまのとなりの領土にしか配置できない」という制約がある。
 まあようするに、たくさんの騎士をストックから補充してたくさんの騎士を配置すればいいわけなのだが、アクションカードで騎士を移動させられたり、王さまが動いたりと、なかなか簡単にはいかない、とそういうゲームだ。
 得点計算は、3ターン目、6ターン目、9ターン目の終了時に起こる。この3回目の得点計算が終わったらゲーム終了である。わかりやすい。
 なにしろ領土を奪い合うゲームというと、どうしても重いものを想像してしまう。しかも、デザイナーはクラマー。ものすごく細かいところまで計算して読んでいかないといけない、がちがちのゲームかと思ったのだが、意外とそうでもなかった。実プレイ時間は2時間強という感じだが、わたしは、3〜4時間くらいのものを覚悟していた。
 アクションカードの中には「〜のマスで得点計算をおこなう」なんてものがあったりする。そのあたりはクラマーっぽい。勝利得点をプレイの結果とは考えておらず、時には『ティカル』のように、勝利得点をオークションの材料にしてみたり『ワイルドライフ』や『トーレス』のように、プレイヤーの行動として直接勝利得点を得るものがあったり『フィレンツェの匠』みたいに金と勝利得点を変換できたり。直接、勝利得点をいじる選択があるのは、この人の特徴の一つだ。
 そのせいで、プレイヤーの意識ははっきりと得点を稼ぐことに向かう。けっこう、漫然とプレイしていると、勝利得点を稼ぐという最終目標を忘れてしまったりするプレイヤーは多いわけなのだが。
 と、いろいろなところを評価してみても、欠点が見つからないゲームである。さすが大賞受賞作。
 強いていえば、はじめての時はゲームの流れが把握しづらいかもしれない。多少、ルールが複雑すぎるきらいがある。
 ターン進行をパワーカードのオークションで決めたり、アクションカードを選んでからターンの行動があったりといったところが、見慣れた普通のゲームと少し違うから、ルールブックを読んでも流れをイメージしづらい。でもそれは、すべてゲームをおもしろくするための工夫である。一度やってみれば、意外と簡単なことに気づく。
 これは実際、かなりの傑作なのである。
 ただし、ちょっとだけ地味すぎ。地図が描かれたボード上に騎士を配置していく、というネタのとりかたが、すでに目新しいところのない、地味なゲームを予感させてしまう。箱の外からもわかるようなアピールポイントがないところは残念。
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エルグランデを