遊星ゲームズ
FrontPage | RSS


サブマリン
 ボードゲーム

2005.3.15 てらしま
サブマリン
Winning Moves
L.Colovini
2-5人(4-5人)
3時間

 潜水艇を使って深海に眠る宝を引き上げるゲーム。とりあえず、ボードの絵と船の形のコマが雰囲気を盛り上げていていい。
 ルールは多少複雑なのだが、いろいろと斬新である。
 とりあえず目を引くのは、各自に渡される山札。手札の補充はこの自分の山からおこなう。山札といったら普通はまん中に置かれていて、全員でそれを使うものだが、このゲームはその固定観念を砕いてみせるわけである。
 この山札、実はそれぞれ十数枚しかない。宝物を回収するには宝物と同じ色の手札を使わなければならないので、放っておくと、あまりに偏った山札のために立ち往生してしまったりもする。最終目標は12種類の宝を集めることなのだが、そのために渡される山札が、15枚。足りないのだ。
 で、その不足分はどうするか。おもしろいところなのだが、自分ではどうしようもないのだ。
sabumarinn.jpg
 潜水艇は宝のある深度まで潜って回収作業をおこなうわけなのだが、この回収をやるときに、自分の潜水艇の上方に他人の潜水艇があると、そのプレイヤーに山札を支払わなければならない。というルールがある。
 この支払いかた、自分の山札のトップのカードを、相手プレイヤーの山札のトップに、支払うのである。斬新だ。
 つまり、ゲーム理論っぽくいえば、もともと足りないリソースをそうやって流動させることで、なんとか勝利条件を満たすことができるようになる瞬間ができるというわけで、これはなんとも、真剣にやると大変そうなゲームじゃないか。
 もちろん、山札が足りなくなると大変なので基本的には支払いたくない。けれど、なにしろ盤面が狭い。支払いたくないからといって宝をとらないわけにはいかず、けっきょく支払うことになる。このリソースの流動は不可避なのである。
 ただし、いつ、誰に支払うかを選択することは可能だ。自分の山札など15枚しかないわけで、すぐに1周するし、本気で記憶しようと思えば憶えられる。さらに、自分の山札から相手の山札に送ったカードも、情報として憶えることはできるし、コントロールすることも、やればできる。もっとも、そこまでやるのはちょっと大変すぎるけど。
 基本的にカードが足りないので、ゲーム終盤には煮詰まる。他人の妨害以外なにもすることができないプレイヤーが出てきたり、妨害されてなにもできないプレイヤーが出てきたりする。
 その中でも、上記した山札の流動が少しずつ起こり、誰かが勝利に近づくことができる瞬間が生まれる。最終局面でうまくその流れに乗ることができたら、勝つことができる。そういうゲームなのだ。
 とまあ、本気の本気でやると2日くらいかかりそうなルールなのだが、まあそこまでやらなければ、普通に宝を引き上げるゲームとして楽しめる。パッケージに表示されている、プレイ時間45分というのはかなりウソだけど。
 潜水艇が、きれいな海の中を、宝を持って海面の母船に上がってくる(浮上する場面は再現されていないけど)。斬新なルールの数々だが、決してこの雰囲気を壊してはいない。意外な傑作なのかもしれない。
cut4.jpg

サブマリンを