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サーガ
 ボードゲーム

2005.8.14 てらしま
サーガ
Uberplay
W.Kramer, H-R.Rosner
2-4人(4人)
1時間

 6個の城があって、そこを攻めるために各プレイヤーは騎士たちの軍団を編成する。
 編成って、ようするに自分の前に騎士カードを並べていく。騎士には6色の色がついていて、一つの部隊に同じ色の騎士は1枚しか入れない。あと、部隊の先頭の騎士の色が攻撃する城の色になる。
 騎士たちは非常に血気盛んで、城を落とせる戦力が整ったとみるやすぐに攻撃を始めてしまう。主であるプレイヤーの命令など待たない。
 そうすると、城カードが攻撃部隊の上に移動する。城は占領され、以後この部隊は城の防衛部隊となるわけである。
 騎士カードの数字の合計がそのまま戦力で、攻撃部隊の戦力が城の防衛部隊の戦力を上回ればすぐに城はそちらに移る。まあ表現していることの意味はわかるのだが、動くのが兵士ではなく城というあたりは少し混乱するなあ。
 で、城にはいろいろと特殊能力がある。ゲーム中に効くものもあれば、終了時に勝利得点を加算するものもある。城を占領している期間が長いほど勝利得点は溜まっていき、終了時に城を持っている場合にも点が入る。というかこの終了時得点の方が普通はずっとでかい。
 終了条件は、誰かの手札が尽きたとき。騎士カードは毎ターン必ず出さなければならないのでいつかは終わるわけだが、防衛部隊が負けると手に帰ってくるのでいろいろ悪さはできる。
 そんな感じで、意外と単純なゲームである。騎士たちが城を攻め、占領すれば点が入る。要はそれだけだ。わかりやすい。
 しかし、どうしたら勝てるかというとこれはちょっとわかりづらい。わたしも始めはさっぱりだった。
 なにしろ、終了時に城を占領していることによる得点が大きい。途中経過はともかく、終了時に多くの城を持っていなければならない。ということはがむしゃらに攻めても意味がないわけで、いつゲームが終わるのか、というかいつ終わらせるのか、いかにそれに合わせて城を攻めるか、というタイミングを見計らいながらやらなきゃならないわけである。
 ちなみに、各プレイヤーに渡される初期手札は決まっている。城の防衛部隊の初期配置に乱数があるが、その後は一度もサイコロを振らない。運に頼れない、考えなきゃならないゲームなのだ。
 城の動きも、始めは目まぐるしいが、次第に落ちついてくる。城の防衛部隊は、所有者が変わるたびに強くなっていくわけで、それを攻略するために必要な戦力はどんどん大きくなっていく。その戦力を整えるために必要なターン数も長くなっていくわけで、つまりだんだんとテンポが落ちていくゲームなのである。
 ということは。中盤にさしかかったあたりで、すでに最終形を見極めながら戦わなければならないのである。
 そのあたりのことが、最初の数回はわからなかった。けっきょく最後に偶然城を持っていた人が勝つだけのゲームじゃないのかと感じたりもしたわけだが、考えてみればそうではないのである。
 つまり、これは城を攻めるゲームではないのである。そうではなくて、いかに自分が有利なタイミングでゲームを終わらせるかというゲームなのだ。
 それに気づかなかったから、始めはよくわからなかったのだ。
 こういう、ゲーム終了タイミングをコントロールしなきゃならないゲームはみんな同じだよね〜、なんてことを前に書いた気がするけど、このゲームをやってそうでもないと思った。タイミングを充分にコントロールでき、しかもそこに特化したこういうデザインならば、これはこれで楽しいじゃないか。
 もちろん、それをやるためには、ゲーム全体の流れに対する感覚とか得点感覚とかが必要で、習熟が必要だ。ルールは難しくないのだが、わたしのように、初回はまるでおもしろさがわからないということも多いだろう。
 でもなんとなくわかってみれば、いろんな城の効果と手札を見比べて戦略を立てる過程は楽しくなってくる。
 ちゃんと考えてやれば、ゲームを「詰ませる」こともできる。こういうゲームは、なにしろ盤面で起こっていることのすべてが自分の思考の結果なのである。他人の行動さえ、すべて考えてしまうことも可能なのだ。だから、勝ったときの充実感が大きい。実に考え甲斐がある。
 ちなみに、6つの城は裏表で別の効果が書かれているので、毎回違う初期配置で遊ぶことができる。何度もやってみたくなる、そんな工夫もいい。
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