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 ボードゲーム

2012/01/29 18:39 てらしま
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ナビゲーター
Navegador
2010年
Mac Gerdts
Rio Grande Games
2~5人
90分
thx to play:game
amazon

 ゲルツのおなじみロンデル作品。
 とりあえず比べたくなるのは『古代』なのだけど。とはいえ、共通点はロンデルくらいのもので、他はだいぶ違う。
 大航海時代の話だ。リスボンからスタートして、喜望峰を回りインド洋を抜けて長崎までいく。船を造り、途中の各地に植民地を作り、そこから収入を得る。

navegador_rondel.jpg ロンデルというのは、このゲームで使われているアクション選択システムのことだ。
 丸い円形にアクションが並んでいる。「航海」とか「造船」とか「植民地」とか、そういうアクションだ。その上に、自分のコマを置くことでアクションをおこなう。
 次のターンには別のアクションを選ぶわけなのだけど、このときルールがあって、プレイヤーのコマは時計回りに3歩まで動かせる。
 これだけのことだ。ようは同じアクションを何度も連発できないようになっているということなんだけど。でも、そのことをじつに簡潔に表現されている。このシステムがとてもいい。ゲルツという人は、デビュー作『古代』以来こればっかり作っている。
 なので、そのフレームワーク部分は、古代をやったことがあれば説明不要。そういうゲームだ。
 あとは、その各アクションに組みこまれたゲームの実装部分がどうなっているかという話。

navegador_playerboard.jpg 古代と大きく違うのは、戦争がないところだ。大航海時代の話であり、戦争の時代の話ではないから。
 やることは大きく分けて2つ。自国に工場やら教会やらを建てることと、航海を進めて植民地を作ること。
 船を進めて未開の土地を見つければ「探検家コマ」が手に入る。他に、お金を使って植民地を建造したり、工場を建てたり、教会や造船所を建てたりする。
 で、それらが最終的に得点になる。そのとき使うのが、→のプレイヤーボード。
 これはなにかというと、たとえば植民地が1個何点なのかを表している。なんと身も蓋もない。
 植民地(緑)は最初、1個1点だ。それが「恩恵」アクションをやることで倍率が上がっていく。
 左から、植民地、工場、探検家コマ、造船所、教会となっている。それぞれに、対応するコマが1個何点なのかを示している。
 じつのところ、植民地や未開の海の探検というのは、得点手段のひとつでしかない。航海しなくても工場と教会だけで勝てたりもする。
 おおむね、なにをやってもお金と勝利点が入るようになっている。意外となにをやっていてもどうにかなる。こういう調整、最近流行りだろうか?

 かなり安定度が高いゲームだ。やった人はだいたいおもしろいというだろう。
 でも、ちょっと思うのは、けっきょくなにをやってもどうにかなるってのはどうなんだろうというあたり。
 だからこそ、初プレイで2時間近くかかってもたいていの人がおもしろいといってくれるだろうと思うのだけど。
 このゲーム、航海を一度もせずに工場を建て続けても、航海をやり続けても僅差で終わる。大差がついて脱落するということが少ないのだ。
 それってどこか、ゲームに遊ばされてる感があったりしないだろうか。
 いやふつうなら「バランスがいい」と褒めるところなのだろうけど。バランスというのは、ゲームのユーザが使う中でもかなり身勝手な言葉のひとつで。その内実にはいろいろあるだろう。

 みたいなことをちょっと感じたりもするのだけど。最近の流行って気もする。
 おもしろさは間違いない。そこはやっぱり、同じシステムを作り続けた熟練度なんだろうか。やっぱりロンデルがいい。
 この安定感は、近ごろやったゲームの中で群を抜いている。

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