競りゲー。競りしかしない。しかし、「競り落とさないこと」に価値を持たせているところが他と違う。
競りで使うのは商品カード。で、競り落とすのも商品カードである。競り落としたカードも手札に入ってくる。
この商品カード、3枚同じ色を集めると得点にすることができる。手札の上限が7枚なので、得点にしていかないと無駄になってしまう。
手札のマネジメントに焦点をしぼった、わかりやすくてシンプルなシステムだ。
とりあえず、山から何枚かのカードがめくられる。このセットをまとめて、競りをする。
で、競り落としたら、代金として提示した商品カードを「市場」におく。あと、いま競り落としたカードの中から一枚を選んで、それも市場に置く。
一度競り落とした人は、もうそのラウンド中参加できない。また次の商品(1枚減る)がめくられて、残りの人たちで競りがはじまる。
最後の一人は、競りではなにももらえない。
全員が競りを終えたらラウンド終了。
このへんまではわりとふつうだ。だけど、この先が違うんである。
競りに使った商品カードは「市場」にいくと書いた。この市場のカードを、最後に競り落としたプレイヤーから順番に一色ずつもらえる。
一色ずつなので、まあふつうは、たくさんある色からもっていく。つまり、競りに負けてもそれはそれで利点があるんである。
競りというと重いイメージがあるが、これはそうでもない。最近の競りゲーはよく考えられているなと思う。
このゲームの場合、競りに使うのはそのまま得点にもなりうる商品カードだ。しかも手札はたったの7枚。また、一度競りに提示したカードは引っ込めることができないというルールがある。カードの追加はしてもいいが、引っ込めて別の組みあわせを出すということはできないんである。
手札の事情で、出すことのできるカードは限られてくる。得点にする予定のカードばかりというラウンドでは、ほとんど参加できなくなったりもする。
そして、競りに負けたほうがいいかもしれないこのルールだ。必然的に、競りの金額はそれほど高くならない。
すごいなと思ったのは、競り落とすときの額がすぐにだいたい決まったところに落ちついたところだ。初プレイでも、数ラウンドやればだいたい同じところに収束すると思う。
いつも適正金額が変動してわからないのが競りゲーなんだが。
なにしろ、手札には得点のもとがあるのだ。いきたくてもいけないし、「これ以上いったら損」というラインも明確にわかる。。あとたぶん、競りに降りたときになにが得られるかというのが「市場」に明示されているから、直感的に計算できるんだと思う。
競りゲーではよくあることだけど、熱くなっちゃってひどい高額の値をつけるプレイヤーが出てくると、ゲームが壊れる。競りにはなんだかそういう力があって、意地でも競り落としてやる、みたいな気になりがちなようだ。
だが、このゲームはそうならないのだ。だって、あまりにも明確に損だとわかるから。しかも、競りに参加しなくたって利益はあるわけだし。
ただし、まったく競らなくていいかというとそうでもない。よく調整されていて、競りで勝ったほうが若干得をするくらいのバランスになっている。
わりと短いし、シンプルだし、プレイ可能な人数の幅が広いしで、重宝しそうな気がしているゲーム。