けっこう傑作かもしれない。おもしろい。似た雰囲気のものを挙げれば勝利への道だが、ルール自体はさらにシンプルに洗練されている。
とりあえず、何十個か入っている円形の木製チットを一列に並べる。5色あるんだけど、これがでたらめな順序で並べられる。
同じ5色のコマが、この列の上を進んでいく。コマは必ず、自分と同じ色のチットの上に乗る。コマを一歩進めると、次のその色のチットの上まで進むんである。
プレイヤーは毎ターン、5個のコマのどれかをひとつ、一回進める。
そうすると、移動先の前後のチットのうち片方をとれる。チットを集めるのが目的だ。
でも、このチットが何点になるのかはまだ確定していない。
得点が決まるのは、コマがゴールしたとき。一番最初にゴールしたコマの色は4点になる。2番が3点、3番が2点、4番が1点、最下位は0点だ。
と、そういうゲームである。簡単だ。
システムとして緻密に作りこまれているというタイプのゲームではない。たぶん、だれかがふと、天才的なひらめきで作ったゲームだ。
システム上「これをやったらあれができない……」みたいなジレンマを用意してあるわけではない。そういう「強い」システムを持つゲームじゃない。
でも、悩ましくないわけじゃない。システムがジレンマを用意しなくても、勝手にいろいろな状況が出てくるんである。
なにしろ盤面はランダムに並べられているのだ。選択の余地もない局面もあるし、他人の次の手を読んだりいろいろしなければならない局面もある。
エレガントなゲームだ。
初期配置には激しい乱数があるが、その後は完全に公開情報のみ。だから、ゴールまでの戦略を立ててプレイできる。そのあたりが楽しい。
もちろん、他人の意図があるから簡単にはいかない。協調したり、多少は邪魔したりというあたりもある。そのあたりのバランスも、なんだか見事だ。
これほどシンプルなシステムが、これほどうまくできているというのは、これはもう人の手が作ったものじゃないと思う。
もちろんゲームデザイナーはいつもこういうのを捜しているんだろうし、すっと考えているから見つけられたのだろうけど。もともとどこかにあったんじゃないかと思えてしまう。
見つけたもの勝ちである。こういうゲームにはもう、見事といってしまおう。