遊星ゲームズ
FrontPage | RSS


ピラニアペドロ
 ボードゲーム

2007.07.07 13:51 てらしま
ピラニアペドロ
Piranha Pedro
2004年
Goldsieber
Jens-Peter Schliemann
2〜6人
30分
thx to play:game

 ピラニアだらけの川の中州に、ペドロ氏がとりのこされています。なんじゃそりゃ。
 川に落ちるとピラニアに喰われるので、石で足場を作ってその上を歩くのです。

 各プレイヤーには12枚のカードが渡されている。「北に1歩」「西に3歩」といった感じで、4方向に1〜3歩のカードである。
 あと石。これがもう本当に石だ。
 で、みんなでカードを1枚伏せて出す。
 いっせいに表がえす。
 スタートプレイヤーから時計回りに、出したカードの方向・歩数にしたがいペドロを歩かせる。
ピラニアペドロ いいかげんなゲームである。
 ペドロが水の上にきたら、石で足場を作ってやらなければならない。もしもこのとき、手もとの石が足りなかったら、そのラウンドはその人の負け。ピラニアを受けとらなければならない。
 誰かがピラニアを喰らってラウンドが終わると、各自残りの手札にしたがって石を補充する。歩数が少ないカードが残っているほど補充できる石が多くなる。
 で、ピラニアを2個受けとってしまった人が負け。じつは勝者ではなく敗者を決めるゲーム。

 なんといってもこのゲームの特徴は、石だろう。なにしろ本当に石である。ホームセンターにいけば売ってるやつである。
 大きさもまったくバラバラだし、ちょっと汚れてたりなんかもするようだ。
 ペドロは石の上を進むので、ペドロコマはちゃんと石をまたげるかたちになっていたりもする。
 普通に考えるなら、石ではなくてタイルのはずだ。いつもの、木のコマでもいいだろう。しかし、やはりこのゲームの場合は、石で大正解と思う。川の上に並んだ、大きさもまちまちで危なっかしい石というこの風景は、なくてはならないものだった。これがゲームの気軽さをあらわしてもいるし、石の話題だけでしばらくは盛りあがれるわけである。

 システム自体は、よくある読みあいやジレンマらしきものを「感じさせる」もの。実は計算が1歩狂っただけで大ダメージなんだし、そんなものを読みきれるはずもないのだが、いちおう自分の選択の結果ではあるので適度に悔しがることはできる。
 別にそれほど悪い意味で使うわけではないのだけど、いってみれば「子供だまし」のシステムだ。いや実際に騙すのはゲームを買うドイツの親なんだろうけど。

 けっこう、こんな感じのゲームは多いのだ。
 システムをシンプルにするのだが、シンプルにしすぎるとたいてい、プレイヤーの選択の影響が大きくなりすぎてしまう。ひとつひとつの選択がゲーム全体に大きな影響を及ぼすため、他人のちょっとした気まぐれひとつで計画が狂ってしまうことになる。
 結果、展開を読むことが不可能になってしまう。
「読み」が不可能である以上、プレイヤーには選択の基準がない。そうすると、ゲームとしては、ジャンケンと変わらないものになる。瞬間瞬間の一喜一憂にしか価値がなくなってしまう。
 だが、こうしたことはあるていどしかたないのだ。
 緻密にチューンされたゲームのほうがいいに決まっているが、システムが複雑になるほどプレイされる機会は減る。シンプルかつ深いゲームなら一番いいだろうけど、そんなものはそうそうない。

 そこで、ゲームである以前にまずもりあがる「遊び」であることが求められる。つまり雰囲気だ。とくにこういうファミリー向けのゲームではそう。
 水の上に並んだ石、というこの小道具は、その雰囲気を作りあげるためのものだ。評価すべき点はそこだと思う。

cut4.jpg

ピラニアペドロを