木のコマがたくさん入っていてうれしい。このゲームでもっとも重要な要素だ。
ルールは簡単。「建物」「ヤギ小屋「城壁」「人」「屋根」と5種類のコマを始めに渡される。ターンではここから、どれでもいいから2個をボードに配置する。全員が置けなくなるまでこれをくりかえす。やることはそれだけなのである。
建物はボードに置いただけでは誰のものでもない。建物の上に自分の色の屋根を乗せることで、初めてプレイヤーのものになる。
屋根を乗せてしまうと、もうその建物は拡張できない。そのため、一生懸命大きく育てていた建物が他人に奪われたりすると大ショックなのである。
というか、本当のことをいえば、自分で大きくした建物は基本的に他人にとられるものなのだ。自分の得点を直接伸ばす手段がほとんど存在しないため、いまだにどうしたらいいのかわからないゲームだ。
ボードは始め、まっさらなマス目が並んでいるだけ。そこに建物を並べていき、次第に街ができあがっていく。ゲーム終了時には、もちろん得点計算をするわけなのだが、プレイヤーはここで初めて、自分たちの街を客観的に見渡すことになる。
このときは、全員で協力して計算を進めるべきだと思う。勝敗が決したことよりもまず、できあがった街を眺めて満足感に浸る、得点計算はそのための時間である。
ここで、立体的なコマが大量に入っていた意味が生まれる。シムシティみたいな感慨がちょっとあるのだ。
いろんな過程があって立体物が立ち並んでいく、男の子はやっぱりそういうものが好きなのだという気がする。
始めはなにをしていいかわからないので、適当に建物を建てることが多い。だが乱数がなく、得点も盤面にすべて見えているので、途中からは必死で考えるようになる。
でも本来は、こういうゲームは、何百回もやりこんでできあがってきた定跡を元に、序盤から気を入れてプレイしなければならないはずだ。なにもないところに置いていくところが似ている、囲碁のような序盤展開になるまでは、本当にやりこんだとはいえないと思う。
もちろん、わたしもそこまでやりこんではいない。所有者だから、多少のセオリーはわかるのだが、それでも序盤はあまり考えずに置いている場面が多い。
いってみれば、まだ誰もこのゲームを理解していないのである。
しかし、楽しくないわけではない。それは、やはり俺たちの街が次第に大きくなっていく、そこに魅力があるからだ。プレイヤー間の綱引きがあり、その結果として、ゴミゴミとした、妙に生活臭を感じる街ができあがる。建物の間に人を配置するときなど、本当に指が届かないほど狭いわけだが、そんなところで、どこか街に愛着がわくのだ。
まあゲーム自体の評価は「佳作」という感じなのだが、もしもこれでコマがただの厚紙だったなら、「駄作」になっていただろう。