写真撮ってくるの忘れた……。こういうバカゲーには写真が必要だと思うので、そのうち機会があったら撮ってきます。
ちなみに原題は『Monsters menace America』。そのままモンスターメナスアメリカと呼ぶのに一票。
ラドンでもキングギドラでも、ましてやガメラでもモスラでもアンギラスでもない。登場する怪獣は、ゴジラ、キングコング、へドラ、カマキラス、エビラの5匹。な、なぜ……って感じのキャストだ。
びっくりするほど日本の怪獣映画を下敷きにしたゲームだ。まず怪獣たちがつぎつぎと現れ、各地を思うがままに破壊して回る。自衛隊ならぬアメリカ軍が必死に対抗するが、もちろんまるで歯がたたない。
そうこうするうち、怪獣たちは出会い、なぜか怪獣大決戦を始める。
このストーリーに、理由なんか必要ない。我々日本人にとってはもう、遺伝子に組みこまれている展開だ。怪獣は軍と戦うし、それが複数いれば、最後には大決戦をやる。世の中にこれほどあたりまえなことはないし、もし違う展開を見せたら許せない。
そんなバカ怪獣映画精神が、アメリカにもあったんだなあということが、このゲームで実感できる。
いや、正確に書こうか。もちろん、アメリカにだって怪獣はいた。『キングコング』とか『恐竜百万年』とか、そもそも日本のゴジラよりも歴史は古い。だいたい、ゴジラの元ネタはあのレイ・ハリーハウゼンの実質的デビュー作『原子怪獣現る』だとされている。
着ぐるみではなくストップモーションだったり、違いはいろいろあるとはいえ。人間の手に負えない大怪獣が街を襲うというイメージは神話のようなもので、国籍はあまり関係ないのかもしれない。
しかし、いまのアメリカにこの神話はない。なぜかといえば、ハリウッドゴジラが登場してしまったからである。なんだあの弱い怪獣は。なんで新兵器でもマッドサイエンティストでもなく、ただのアメリカ軍に負けなければならないのか。あれはもう怪獣じゃないのである。
日本人からみれば、あれはヤーウェがミサイルで殺されるようなものじゃないか。そんなこともわからないのかアメリカ人は。そんなにアメリカ軍を誇大に見せたいかよ。
そもそもあんな、人も入っていないような怪獣は認められない。ハリーハウゼンのストップモーションなら認めてもいいけど。
なんて思っていたのだが、わかってないのはブッシュだけだったのかもしれない。よくわかっている、こんなゲームもあるじゃないか。
このゲーム、実は復刻で、もとは『Monsters Ravage America』というタイトルでアバロンヒルから出てたものらしい。そっちの発売年は1998年? でいいのかな。思ったより新しい。ぐぐる様でいろいろ調べてみるに、コンポーネントなどは復刻版のほうが格段によくなっている。どうもゲーム自体も細かく変わっているようすだが、しかし大筋は変わらないようだ。登場怪獣も変わったが、ゴジラは登場していたらしい。
このしょーもないストーリーに、この軍の弱さ。これはたしかにアメリカ映画ではなく日本の怪獣映画なのである。『怪獣王ゴジラ』(ゴジラのアメリカ輸出版)がどれほど話題になったかは知らないが、少なくとも日本のくだらない怪獣映画をおもしろがっているアメリカ人が作ったことは間違いないと思えるのである。
ああ、ゲームの紹介してないや。
プレイヤーは、怪獣と軍を一つずつ担当する。怪獣は最初に書いた5匹。軍は、陸、海、空軍と海兵隊。よく知らないんだけど、海兵隊って海軍と違うの?
軍のユニットは各地の基地から登場して怪獣に戦いを挑み、木の葉のように蹴散らされる。メカゴジラとかスーパーX(いや、カード名はXファイターだしイラストは前進翼機なんだけど)とかも登場するが、もちろんそれでも怪獣は倒せない。せいぜいが、足止めになるかどうかくらい。
国連軍なんてのもあるが、これはたぶんアメリカが拒否権を発動してるから、基本的に動けない。
なんかもう、この軍の弱さは泣けてくる。せっかくプレイヤーが操っているというのに。怪獣は、そんな人間たちの抵抗など歯牙にもかけず観光地や大都市を破壊する。
破壊すると体力が増えたりちょっとパワーアップしたりする。それはすべて、最後の決戦に備えるためである。
都市が一定数破壊されたら怪獣大決戦が起こる。ここではわかりやすく、つぎつぎと怪獣が呼び寄せられ1対1で戦っていく。最後に生き残った怪獣が勝者となる。
ってつまり、徹頭徹尾バカゲーである。てきとーに突然変異して触手が生えたり、せっかくの新兵器があっというまに壊されたりするのをゲラゲラ笑ってればいいのである。本気でやったってしかたない。
だるくもならず、最後に大決戦があるからちゃんと盛り上がって終わる。考えてみれば途中経過は半分くらい必要ないような気もするけど、まあいいやそんなこと。
なんともてきとーなゲームデザインなのだが、楽しめちゃうのは怪獣へのファン根性かねやっぱり。