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ロール・スルー・ジ・エイジズ
 ボードゲーム

2009/06/14 19:51 てらしま
ロール・スルー・ジ・エイジズ
Roll Through the Ages
2008年
Gryphon Games
Matt Leacock
1~4人
30分
thx to play:game

 サイコロを振って、文明を発展させる。
 文明を発展させるゲームといえば、建物を建てたり技術を進歩させたりいろいろやって拡大再生産!みたいなイメージがあるが、このゲームもまさにそういう内容だ。
 そういうゲームは重そうというイメージもある。でもそこは違う。本当に30分で終わるんである。
 やっぱりサイコロを振るのは楽しいんだと思う。なんとなくまたやりたくなるゲーム。

ペグボード 箱は小さいけど、ずしりと重い。それは、木製のペグボードが入っているから。
 おおなんか豪華……と思うけど、じつはこれがそうでもない(笑)
 各プレイヤーに配られるのは、ペグボードとペグと、プレイヤーシートと鉛筆。
 プレイヤーシートである。
 TRPGとかゲームブックとかで使うような、アレだ。
 木製ペグボードの豪華さと紙……。このアンバランス感は、たぶん誰でも感じるだろう。ペグボードじゃなくていいから、普通のボードとチットでプレイしたいと思う。
 コンポーネントでゲームに興味を持つプレイヤーは多い。せっかくちゃんと軽いゲームになっているのに、少し残念なところではある。

プレイヤーシート でも、プレイヤーシートには利点もある。ルールが全部、プレイヤーシートに印刷されているんである。
 ルールブック自体には、あまり細かいことが書いていない。読んだときは「これだけ?」と思った。細かいことは全部、このプレイヤーシートに書いてあったのだ。
 簡単な基本をおさえてしまえば、あとはプレイヤーシートを見ながらプレイできる。これは大きい。
 そして、なによりこれ、完全日本語版なのである。
 こういうゲームはどうしても、言語依存が強くなる。獲得した建物や進歩の特殊能力とか、そういうのはどこかに文章で説明しなければならない。日本語のプレイシートがなければ、ずっとめんどうなゲームになっていただろうと思う。

 それに……。
 ペグボードには「Roll Through the Ages」と書いてあるのだけど。プレイヤーシートでは少しちがって「Roll Through the Ages 青銅の時代」とあるんである。
 プレイヤーシートにしか書いてないルールがあるわけだから。プレイヤーシートを変えれば、違うゲームになるはずなのである。
 そういう今後の展開も、ありうるわけだなあというか、そういうふうに作ってあるのかもしれない。

 とりあえずダイスを振る。
 振れるダイスの数は、持っている「都市」の数。もちろん、都市はそのうち増えたりもする。
 ダイスは2回まで振りなおすことができる。ただし、「ドクロ」の目は振りなおせない。
 ダイスには、食料とか人とか、資源とかの絵が描かれている。出た目にしたがって、なにかが生産される。
 資源を獲得したら、ペグボード上のペグを進める。
 人を獲得したら、プレイヤーシートのチェックボックスに人数分のチェックをつけることができる。都市にチェックをつければダイスが増えるし、モニュメントにチェックをつければ得点になる。
 毎ターン、都市の数だけの食料が消費されていく。食料が足りないと、飢饉が起こって得点がマイナスされる。
 資源を売るとお金になり、お金で「進歩」を買うことができる。これには、いろいろな特殊能力が書いてある。プレイヤーシートに日本語で書いてあるから、そこから選べばいい。
 だいたいそういう流れだ。やっていることはオーソドックスである。
 偉いのは、生産を全部ダイスに集約してみせたところ。おかげでゲームの流れはシンプル。
 日本語プレイヤーシートのこともあり、とても導入が楽だ。これも、箱からうける印象と違って。

 ダイスを使うだけあって、かなりの運ゲーである。あえてそれを許容しているデザインだと思う。
 というかたぶん、運ゲーであることをあえて強調しているふしもある。
 ダイス目の中に「ドクロ」というのがある。これは特別な目で、振りなおすことができない。そして、ドクロの数に応じて「災い」が起こる。
 その代わり、ドクロからは資源2個が出る。他の目で資源1個というのがあるので、それと比べれば非常に強い。
 とそういうものなんだが。このドクロの災いが問題だ。
 数に応じて、起こることがちがうんだが。
 ドクロ1個の場合は、なにもおこらない。
 ドクロ2個なら、「干魃」。自分がマイナス2点。
 そして、ドクロ3個の場合……、「疫病」が起こる。この効果は「対戦相手全員がマイナス3点」なのである。
 なぜ対戦相手? とはみんな思うが、そう書いてあるんだからしかたない。このドクロ3個を出したときは、自分自身は資源を6個生産した上、対戦相手を攻撃もできることになる。
(ちなみに、ドクロ4個とドクロ5個以上はちゃんと自分が痛い)
 疫病、強いんである。
 もちろん、それが出るかどうかは運次第だ。ダイスがテーマのゲームなんだから、これくらいの運はあって当然。というデザインなのかなあと思う。

 じっさい、ダイス目次第でかなりの差がつく。それが不快だといわれてしまえば、しかたない。だけど、この運次第っぷりが楽しいという気もする。
 やっぱり、サイコロを振ることには単純な楽しさがある。
 運だけというわけでもなくて。ちゃんと文明系ゲームらしいプレイ感はある。進歩の選びかたとか、次はこんな作戦でやってみようとか、考えるところもある。作戦の選びかたで勝率を上げることは可能だ。
 それでいながら、ちゃんと本当に30分で終わる。これはデザイナーがんばったと思う。
 生産をすべてサイコロに集約することで、ゲームの流れをシンプルにすると同時に運の影響を強めた。運が強いと、プレイヤーの判断にいいわけが用意されるから(笑)、結果的に考慮時間が短くなる。
 また、インタラクションが薄いデザインも、プレイ時間短縮に効果がある。このゲーム、もちろんインタラクションはそれなりにあるのだけど、自分のプレイヤーシートだけを睨んでいてもプレイできてしまう。他人を気にする必要が小さければ、もちろんそれだけプレイ時間短縮につながる。
 なにげにいろいろ考えられている気がするデザインだ。

 短時間ゲームが求められる場合というのは多い。けれど、勝敗を重視しないパーティーゲームには特有の問題があり、好まない人もいる。
 そこで。というわけでもないが。
 若干ゲーマー指向よりの気軽なゲームという意味で、……ドミニオンに飽きてきたときなどにいいんじゃないか。
 運ゲーだとかなんだとか、いろいろいいながら、けっこうやりそうな気もしている。

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