2006.10.31 23:21 てらしま
さらにスポーツファン度が増しているなあ。この人はきっと『満腹ボクサー徳川。』のおもしろさをわかってくれるだろうと確信している。山際淳二や寺山修二については一家言持っていて「最近のNumberはイマイチだよね」とかいう人に違いない。
ただ、いちおう表面上はいかにも学園ライトノベルだ。美少女がたくさん登場して、むやみに極端な造形のキャラクターばかりが出てくる。そうやって誤魔化さなきゃならないのかと思うとさびしくもあるが、しかしそういうものがなければつまらなかったかもしれないので難しいところだ。
ともあれ、3巻になってもまだちゃんとおもしろかった。ライトノベル的な世界観の中で、スポーツのおもしろさをしっかりと描いている、奇跡のような作品である。と思う。少なくともわたしにとっては、奇跡のような作品だ。
同じ論理でSFパロディをやった『涼宮ハルヒ』にはハマらなかったあたりが、SFファンの悲しい習性なのだろうなとも思うわけなんだが……。
ごくごく個人的な話になるが。
近ごろはだいぶ電車通勤になれてきた。というのはつまり、電車の中では退屈だから本を読んでればいいと気づいたという意味なんだが、しかしそうすると、ライトノベルなら1日1冊以上の本が必要になる。
ライトノベルをそういう読みかたで読んだのは初めてで、それで気づいたことがある。ライトノベルにはハズレが非常に多いのである。なにをいまさらだけど。そりゃあもう、レビューなんか書けないくらいのハズレばかり読んでいる。
本屋で、適当に手にとったライトノベルならまだいい。長年本読みをやっていれば、少なくとも自分にとってのハズレを嗅ぎ分ける嗅覚くらいは身につくものだ。まだ読んでいない本ばかりの棚から、一番のものを見つけることは難しいだろうが、ハズレを引かないくらいの能力はある。
しかしそれが、1日1冊を超え毎日同じライトノベルの棚に通っていると、ハズレを引かざるをえなくなる。目についたものはもう読んでしまったわけで、そうなると目につかなかったものの中から買うものを選ばなければならなくなる。嗅覚は「やばい」といっているのに、電車の中の退屈を紛らすためには本が必要だから、買ってしまうんである。
しかもわたしはSFファンだ。どうしても、SFっぽいタイトルを優先的に買ってしまう。それは危険だとわかっていても、気がつくとそうなっている。そしてもちろん、SFネタのライトノベルでアタリを引くのは本当に、非常に難しい。
まあ、そこまで無理してライトノベルを読まなきゃいいんだけど。でもライトノベルを読みたいときというのもあるし、あと並行して読んでる『カズムシティ』が厚すぎて通勤カバンに入らなくて、そのせいで別の青背を買い足す気になれないとか。
で、気づいたことというのはアレだ。この本のように、見事に自分の趣味にあった、好きなシリーズの新刊が出ると心底ほっとするということだ。そういうシリーズの中にSFがないのは残念でならないけど。