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帝都浪漫活劇 お嬢さまを探せ!
 読書

帝都浪漫活劇 お嬢さまを探せ!
久藤冬貴 集英社コバルト文庫

2003.5.10 てらしま

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既刊の評
ブルーローズ・ブルース
 私的に注目の作家、久藤冬貴の新作。こんなに早く出るとは思わなかった、『ブルーローズ・ブルース』の続編である。
 前作に登場した商家のお嬢様、芙美は書生の風見と婚約することになってしまっている。それはそれとして、女学校の同級生が婚約したのだが、彼女には別の思い人がいるらしく、芙美に相談を持ちかけたその日に失踪してしまう。
 それを捜してかけずり回る話ということになるのだが。もはや内容は可もなく不可もなくという感じである。前作とほとんど同じ雰囲気で、想像したままの完成度の話が読める。読んで損はしない。
 この人の作風は、前作で一度完成してしまったのだと思う。なんとなくコバルトにはそういう作家が多いが、安定した完成度の高いスタイルで、読めば充分満足できるのだが、がっかりすることも新発見もない。買っても損しないことが始めからわかっているから安心できる。
 こういう恋愛モノでは、主人公の周囲にさまざまな事件が起こるけど主人公とその思い人との関係には進展も後退もない。たぶんそうすることでシリーズを続けられるからなんだろう。そういう作家に、久藤冬貴もなろうとしている気がする。
 それはそれでけっこうなことだ。私はそういう作品はけっこう好きである。だが、一作目から新人に注目して追っているファンの一人としては、作家が形を決めてまとまっていってしまうのがなんか残念なような。しかもその変化がまたやけに速いし。


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