遊星ゲームズ
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王への請願
 ボードゲーム

2006.05.10 21:16 てらしま
王への請願
Um Krone und Kragen
2005年
Amigo
T.Lehmann
2-5人(4-5人)
60分
thx to play:game

 いろんな人とコネを作りながら、最終的には王さままでたどりつく。でなにか請願するらしい。まあたぶん、大きな土木事業を国から受注するとか、そんなもんだろう(ぉ
 人とコネを作るには、その人の要求するダイス目を出さなければならない。「偶数の目だけ」とか「4個以上のゾロ目」とか、そんなの。
 キャラクターカードを入手する(コネを作る)と、その官僚の能力を使えるようになる。これは大まかにいって、ダイス目操作系とダイスを増やす系の2種類がある。
 あとで待ち受けている最終決戦ではまあ両方必要になるだろうが、ダイスは実弾なので、数が増える能力のほうが人気が高くなる。

 ダイスは、まずいくつか振って、うちの一つ以上をその目で固定し残りを振りなおす、という振り方をする。
 はじめはダイス3個しか振れない。それが、引きこんだ官僚の能力で増えていくのである。
 で、ゲーム終了条件である王さまカードをとるためには「7個以上のゾロ目」を作らなければならない。

 誰かが王さまにたどりつくと、ゲームは最終決戦ラウンドに移る。
 ここでは、各自がこれまでにゲットしたコネクションを最大限利用して、ダイス目勝負をする。たくさんのゾロ目があるほど強く、目が大きいほど強い。
 ガラガラと、9個とか10個とかのダイスを振る。パワーゲームだ。
 で、この最終決戦に勝利して公共事業を受注したプレイヤーの勝ちである。

 すごい勢いでダイスを振るゲームである。しかし誤解してはいけない。
 ダイスを振るからといってイコール運ゲーではない。
 一つを好きな目に変えるだの「4の目のダイスを加える」だの(これは加えた後で振りなおせる)、そんな能力をたくさん獲得できるのだから、もはや運の部分は非常に小さくなっている。
 こういう話は計算して示せればいいのだろうけど。ダイス目がよかったとか悪かったとか、それは結果にすぎず、それよりもゲームの行方を決めているのは、そこまでのプレイでおこなってきた選択なのである。
 運よりもむしろ、戦略とリスク管理みたいなものの勝負なのだ。
 こういうゲームではなんかわかりやすいので多用してしまう例えだが、プエルトリコに近い。
 特殊能力を持ったカードを獲得していって、自分の力を強化していく競争なのだ。
 目標は一つ、最終決戦で勝つことだ。すべての選択はそのためである。わかりやすい。最終決戦から逆算して、自分の勢力を作っていけばいい。
 直接他人を攻撃することはあまりできないが、もちろん、他人を上回ることは必要なわけで、他人を無視していいわけじゃない。他人の動向を見ながら、他人よりも効率よく、あるいはハイリスク・ハイリターンに、自分の勢力を強める。なにしろ相手はダイスなので、本気で高いリスクを背負う気ならダイスの数だけを追えばいいし、リスクを減らしたいならダイス目を調整する能力を強化することができる。

 という、けっこういいゲームだ。「ダイスをたくさん振る」ことの手軽感と昂揚感を利用し、それなのに実は乱数の寄与を減らし、マルチゲームらしい選択を用意してあるところがキーポイントである。

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王への請願を