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見方が変わるサッカーサイエンス
 読書

見方が変わるサッカーサイエンス
浅井武・布目寛幸 岩波科学ライブラリー

2003.5.30 てらしま

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参考
サッカー ファンタジスタの科学 浅井武監修 光文社新書
 2002年ワールドカップは世界のサッカーに変化を与えなかった、とする意見が多い。各国リーグの過密日程や質の低い審判などがその原因ということだ。たしかにそんな気もする。とはいえ、今になってワールドカップ直前の本を読むというのは少し興ざめなところがある。
 ワールドカップ前に書かれた本はワールドカップの熱気の中にある。祭りが終わってみると、あの時期にしか書けなかったと思う内容も多い。しかし当時は誰もそれに気づかなかったのだし、だからこそ祭りは祭りなのだ。
 この本はサッカーに関する科学についての本だ。大会以前でも以後でも同様に通用しなければ科学ではない。その意味で、これは「冷静な」部類に入る本である。それでも、サッカーの本を出版するのはサッカーが好きな人間だ。あのころの熱気が文章ににじみ出ていないはずもない。そのへんがおもしろいといえばおもしろいが、やはり出版直後に読めばよかったという気にはなってしまう。
 書かれている研究の内容としては前著『サッカー ファンタジスタの科学』とほとんど同じ。あれをもう少しまとめ、最近の成果をつけ加えた感じだった。だから基本的には『見方が変わるサッカーサイエンス』の方を読んだ方がいい。
 スポーツ科学に関する本は、日本では最近になってだいぶ出るようになったようだ。ということはまだ研究の歴史は浅く、この本にしても、まさにいま研究中ということがよくわかる。たとえば、中で紹介されている研究の一つにストイコビッチのインサイドキックの解析がある。ここでは日本の選手との蹴り方の違いについて考察されていておもしろい。
 となれば「他の選手ならどうなのだろう」とは当然思う。
 研究者たちもサッカーファンである。私と同じ興味を持ったのだろう。そこでこの続きとして、今度は別の一流選手のキックを解析しようということで、セネガル代表のディウフに協力してもらえたらしいのだが、しかしその解析はまだすんでいない、成果が出しだいホームページサッカーサイエンスラボラトリーで発表するなんて書かれている。このへんのライブ感覚を、同じサッカーファンとして楽しませてくれるのがうれしい。
 うれしいのだが、そのためには発行されるハシからリアルタイムで読んでいかなければならず、それにはそれなりのエネルギーが必要そうだ。


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