メーカー公式の用語で「デッキ型カードゲーム」である。これはつまり、ドミニオンコピーに与えられる呼称のようだ。
まあ個人的ないろいろな思いはあるものの。いっておかなければならないこととして。ゲームとしては水準以上である。少なくとも日本製ボードゲームの中では、平均を軽く超えている出来だろう。
だがそれは、ドミニオンコピーであればあたりまえかもしれない。
いや、コピーすれば必ずうまくいく保証などどこにもない。だから、おもしろいのならそれはそれで評価していいのはもちろんだけど。
ただいえることととして、ドミニオンのゲームシステムというのは、非常に堅牢なのである。もともと拡張するつもりで作ってあったためなのかもしれない。ドミニオンは、かなりひどいカードを作っても成立してしまうゲームなのだ。
じっさい、本家の拡張セットだって、冷静に考えればそうとうひどいカードを出しているわけで……。
ドミニオンとの違いは「側仕え」のルールと「病気」「悪癖」というイベントカード。
そしてこれは、かなり決定的な違いである。
まずドミニオンは、トレーディングカードゲーム用語でいうところの「パーマネント」(場に出すカード。クリーチャーとか建物とか)がない。あるのは手札と、デッキだけだ。
これは、非常にいろんな熟慮の結果として誕生したのであろう、ドミニオン最大の特徴である。
これについての考察はまあ、ここでは省くんだけど。ドミニオンになぜそれが必要だったのか、なぜそうしたのかを考えることは、ゲームデザインを考える上でとても重要だと思っている。
たんとくおーれでは「側仕え」ルールがパーマネントを復活させている。
またドミニオンは、攻撃カードの効果は必ず「対戦相手全員」に及ぶ。一人を狙う攻撃というのはひとつもない。
「マルチゲームのインタラクションはどうあるべきか」という永遠の問題に対する、ひとつのアプローチである。これもまた、ここではくわしい解説はしないけど……。
たんとくおーれのイベントカードは、個人を指定して攻撃する。
ドミニオンとの比較をすると、けっこう、決定的な部分に変更が加えられているんである。
ドミニオンそっくりなシステムでありながら、クリティカルな部分が変更されている。もしこれが故意なら、それは一種の悪意だろう。ただ、そのこと自体を批判する気はない。そういう芸術家の悪意はけっこう好きなのだ。インタラクションの話にしても、マルチゲームに闘争を求める層というのはいる。そういう層にとって、ドミニオンは物足りないゲームなのだ。
しかし、悪意である以上、半端や失敗は決して許されない。このゲームに関していえば、悪意だとすれば不足、無自覚なら残念。という感想。
まあ、それほどドミニオンそっくりで、だから決してつまらなくはないんである。
……なんだこの歯切れの悪いレビュー。
白熊 -2010/05/06 11:41
レビューありがとうございます。
ドミニオンのインタラクション(攻撃カード単体での話でなく、例えば庭園デッキ/公爵デッキなどのデッキアーキタイプをどのタイミングで選択する/選択しないという意味も含めて)ってけっこうやりこまないと見えてこない(見えづらいけど、やればやるほどうっすら見えてくる感じ?)が『味』なのかなーと個人的には思ってます。
> たんとくおーれのイベントカードは、個人を指定して攻撃する。
は遊ぶ相手を選びそうですねぇ(;´д`) 「むきになる」プレーヤーとは遊びたくない印象です。
てらしま -2010/05/06 12:58
コメントどうもですー。
ドミニオンの、見づらいけどはっきりとあるインタラクションはたしかにいいところのひとつですよね。
たんとくおーれはけっこう、場が弱いカードばかりだとすることがなくて攻撃というケースが多い気がしてます。逆にそれなら、自然にトップがたたかれるからいいのかもしれないみたいな微妙なバランス感もないではないです。