遊星ゲームズ
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エデン
 ボードゲーム

2006.01.16 12:59 てらしま
エデン
Eden
2001年
Kosmos
G.Zuckerman
3-4人(4人)
90分

 とりあえず、こういう検索しづらいタイトルはやめてほしいわけだが。
 神の園で、畑でマナを生産して土地を広げていくゲームである。
 あー、よくわからないからいいかえよう。不動産を経営して(マナ)を稼ぎ、それを元手に血みどろの買収合戦をやるゲームだ。
 下敷きになっているのは「アクワイア」。ボードのデザインも、場所が指定されたタイルのルールも同じである。
 違うのは、買収のルール。他人の土地の隣にタイルを置くと合併が起こるわけだが、ここで対象となるのは、そこからつながった土地全部ではなく、攻撃側が指定できる。1マスだけとか、ちょっとがんばって3マス買収するぜとか、できる。また、攻撃側が買収に使う自分の土地の範囲も指定できる(つまり負けたらこの範囲が相手のものになってしまう)。
 そして、このときは必ずパックマンディフェンスが発生し、買収の勝敗は金の出しあいで決定される。より多くの金を提示したほうが(この金は買収相手に渡されることになる)、その土地を所有することになる。
 より多くの金を、と書いたが、これは「土地一つにつき○○円出すぜ!」と指定する。土地一つあたりの金額を、比べるのである。
 ここがポイントだ。
 例えば、相手が3マスの土地で攻撃をしかけてきて、その対象は1マス、という場合、こちらは相手の3マスを買わなければならないわけだから、金額も提示した額の3倍必要になる。大きな勢力で攻めこめば有利だが、負けたときのリスクが大きい。というかすごく大きい。
 ……こう整理してみると、いまさらだけど、やっぱりアクワイアを引き合いに出したのは間違いかもしれない。いや、ルールの下敷きになっているのは間違いないのだけど、やっていることは買収というより戦争といったほうが近いかも。軍資金を稼ぎ、辺境の騎士たちに(これも時代が違う^^;)指示を出して、隣国に攻めこむイメージなのかもしれない。
 というか、マナを使うんだから魔法の戦争かな。あでも、支払ったマナは相手に渡すんだしなあ。
 まあいずれにしても、楽園の名からはほど遠い世界である。りんごを食べる前から人間は変わってないのかなという、ブラックジョークに近い。
 それはともかく、やはりこの「攻撃範囲を指定できる」ルールがゲームのキモだ。
 負けていても、(それなりに準備していれば)いつでも逆転を狙えるのである。
 終了条件は「誰かの土地の価値総額が20億円になったら」と非常に明確だ。いつ終わるのか、盤面を見れば簡単にわかる。
 つまり「このままでは3ターン以内に負けるぞ!」ということがはっきりとわかってしまう。
 そこで、博打を打てるのだ。最小限の戦力をなんとかそろえ、上位のプレイヤーに「対象はここからここまで6マスでね」とかなんとかいって不利な戦いを挑んでしまうことができるのである。
 これをやると、なにしろあとのことは考えていないのだから、互いに全力のマナをつぎこむことになる。得点も大きく動く。20点で勝ちのゲームで、5点とか6点とか動いてしまう。しかも、人から人に。
 勝つのはたいてい、この博打攻撃をしたプレイヤーか、されたプレイヤーだ。
 数回やった感じとしては、自分の土地に適当に投資して収入源を確保しつつ攻撃の準備を整え、虎視眈々と機会を(攻撃対象が大金を支払うのを)待つ、という感じだ。
 状況は激しく動くのだけど、アクワイアと同じでタイルを置ける位置は手札で決まっているので、重要な位置を抱えておけば、チャンスを待つことができる。
 逆転できるゲームというのはやっぱりおもしろいのだ。
 けれどこのルール、キングメーカー(自分は勝たないが勝者を決めてしまう人)が生まれやすい。
 たとえば、自分は今14点、他に19点のプレイヤーが2人いる。ここで攻撃しなければ明らかに負けるのだが、手持ちの戦力は物足りない。
 こんなときどうするかは人によるし、なにをしても責められるべきものではないけど、わたしなら、いくら無謀でも攻撃する。相手のミスか「てへっ。実はぜんぜんお金持ってないんだー」というのを期待してやるわけだが、もちろん普通は勝てない。
 そうすると、自分が攻撃した相手を勝たせることになる。こういう理不尽が、このルールでは容易に発生してしまうのだ。弱点というべきなのかどうかは難しいところだ。だが後味の悪い終わり方が多いのはたしか。
 ……まあけっきょく、そこが楽園だろうがなんだろうが世の中は理不尽なんだねーというか。ほんとに、このゲームを「エデン」と名づけた意図はなんだったんだろう。
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エデンを