ゲームリンク9号の「やぽんぶらんど通信」という記事がある。
そこでカワサキファクトリーの中の人である川崎晋が、ゲームの作り方というのを書いていた。
(やぽんぶらんどとどう関係あるのかはよくわからない)
この記事、決められたコンポーネントでゲームを考えてみようというものなのだけど。
この条件で、ゲームを考えてみましょうと。
おもしろそうなので、わたしもやってみようと思った。
(なんか前にも似たようなこと書いてる気もするけど。いまはじっさいにゲームを作っているわけなので、たぶん少しは考えかたを整理できてる)
理屈から入ろう。
ゲームというのは、プレイヤーに選択させなければならない。そして、その選択に意味がなければならない。
たとえば、安易に、カードを集めるゲームを作るとしよう。
この場合、赤のカードを選んだ場合と青のカードを選んだ場合とでは結果が違わなければならない。
たとえば、こんなゲームがあったとする。
これだと、赤でも青でも同じだ。カードを選択することに意味がない。これではダメなんである。
(ただし、他の場所に選択の意味を持たせることができるのだったらいい)
では次のようにしたらどうか。
だいぶマシだ。なぜなら、赤を1枚持っている人にとっては、赤のほうが青よりも価値が高いことになるから。結果が変わる、つまり選択に意味があることになる。
これならゲームにすることは可能だろう。
もっとも、これだけだと少し厳しい。赤を1枚持っている人が、青を選ぶ理由がなにもない。だからこれは、実質的に選択肢として機能しない。もう少し工夫が必要になる。
でもそれはおいといて、もう1個考えてみる。
他のプレイヤーとの比較を加え、いわゆるインタラクションを足した。
また、このルールの特徴は、同じ色を何枚持っていても5点だというところ。できるだけ少ない枚数で得点できた方が効率がいいというジレンマがある。
ジレンマ! ボードゲームでよく聞く言葉だ。たぶん大事な言葉なんだろう。
これはもう、これだけでもゲームになっている。
C)はけっこういい。というかそういうゲームたくさんある。株を集めるゲームとか、エリアマジョリティとか。
C)だけでもいいけど、複数のロジックを混ぜるのもいいかもしれない。青はA)、緑はB)、赤はC)だ。ロジックが違うなら、選択で結果が変わるということが保証される。
もちろん、他のロジックを考えてもいい。2色余ってるし。
まあともかく、これで、選択に意味を持たせることは担保できた。つまり、もうゲームの成立は確定している。簡単だ。
あとはカードの選ばせかたなのだけど。これはもうどうでもいい。
「場に並んでいるカードから選ぶ」でもいいし、流行のドラフトでもいい。もっとひねりのきいた方法もあるだろう。お好みでランダムを入れてもいいし、入れなくてもいい。
まあドラフトにしたら、まんま世界の七不思議の完成だけど。
上に書いた勝利点計算ロジックは、すべて既存のゲームにあるものだ。世界の七不思議はそれらを見つくろってドラフトにまとめたものなんだよねというわけで。
もっといえば、かなり多くのゲームはそんな感じで説明できると思うのだけど。
このゲームの場合でいえば、カードを選べればなんでもいいんである。
例えばドラフトの代わりにコロレットのシステムをそのままつかったらどうだろうとか、ドラフトを全部手札オープンでやったらどうだろうとか、いろいろ考えられる。
なんでもいいので、思い浮かんだものを。
あとは調整してテストプレイして完成です。
や、だいぶ乱暴に書いてるけど。あくまで、簡単な方法のひとつとして。
もちろん本当は、もっといろんなこと考えなきゃいけないと思うけど。
上に書かなかったことのひとつとしては「これでおもしろいのかどうか」というのがある。これは、ゲームが成立するかどうかとは別の軸として考える必要がある。テーマを考えて絵をつけるとか。バランスを整えたり壊したりとか。調整しながらそういういろいろなことをやる。
むしろそっちのほうがやりかたが決まっておらず、デザイナーの個性が出る気がしている。わたしも、まだ確立したものを持っていないのだ。
同じネタのコラム記事が『同人ゲームリンク』にもあった。操られ人形館の常時さん“ゲームのルールを創ってみよう”という記事。
こちらを読んで、じゃあ俺もと思ったのでした。