メディチやラーなど、ビッド(競り)ゲームの系列に入ると思う。しかし、ビッドゲームとはいえない。紆余曲折の進化を遂げてきた結果、競りの部分を排除してしまったのがこのゲームだからだ。
ゲームタイトルが、それを表している。ドイツ語で意味があるのかどうかは知らないが、もしないとしたら、colorを元にした造語なのだろう。つまり、このゲームは他の言葉で表せるものではない、このゲームのみを表すシンプルな名前が与えられるべきだと、そういう意図が感じられるような気がする。少なくとも名前の上では、チェスとか、囲碁とか、そういうものと同列に語られるべきゲームなのである。
カードゲームなのだが、このカードがすごい。一枚のカードに与えられたパラメータはたった一つ、色だけなのである。最初に箱を開けたとき、これには驚いた。
7色のカードが、9枚ずつある。場には人数分の列がある。ターンが回ってきたとき、プレイヤーの選択肢は二つ。カードをめくって列のどこかに置くか、一つの列にあるカードをすべてとるか。
一つの列には3枚までしかカードを置けない。山の下から16枚目に入っている最終ラウンドカードがめくられたら、そのラウンドでゲーム終了。
そしてゲーム終了時、カードの枚数によって得点を計算する。集めたカードのうち3色を選んでプラスの得点とし、残りの4色をマイナスの得点として合計する。
この「残りをマイナス」という部分が、すべてといっていい。このたった一つのアイデアが、ゲーム性のすべてを決定づけている。
同じ色が1枚なら1点。2枚で3点、以下、6点、10点、15点、21点と増えていく。なにしろマイナス得点もこれで数えるわけだから、いかにたくさんのカードを集めつつ色を少なくするか、というジレンマがゲームの根幹なのである。
実はこれは、これまでのビッドゲームと、まったく同じ構造なのだと思う。カードを集めなければ得点にならないのは明らかだが、ビッドゲームの場合、それをいかに少ない出費で手に入れるかというジレンマがあった。
このゲームの場合、ゲームのリソースをカードだけに絞ったにも関わらず、これまでのビッドゲームがなしえなかった上質のジレンマを実現している。
なるほど、このルールの単純さと奥深さには、たった一つの単語を与えるのがふさわしいと思う。実にいいゲームである。
難点は、あまりに抽象的すぎるということだ。もはやゲームの題材というものもない。ただゲームのために生まれてきたゲームだ。こういうゲームは、人によっては「なんとなく乗り気になれない」のではないだろうか(ちなみに、私は全然抵抗がない)。華がない、ということである。