職人と貴族を雇い、建物を建てて名誉点を稼ぐゲーム。といったって少しの説明にもならない。この説明があてはまるゲームが多すぎる。
だからシステムを説明しなきゃならないわけである。
各ラウンドには4つのフェイズがある。といっても各プレイヤーのターンにできることはまったく同じなのがおもしろいところだ。
まず第1フェイズは職人フェイズ。開始時に、場に職人カードがめくられる。
この場というのはいろいろなカードが出てくるのだが、必ずそれらの合計が8枚になるようにめくられる。前のフェイズで穴が空いた場所が埋められるわけである。
で、各プレイヤーのターン。できることは、
1)場に出ているカードを買い、自分の前に置く(職人フェイズだからといって職人しか買えないわけではない)
2)コストを支払わず場のカードを一枚手札にする
3)手札のカードを一枚、コストを払って自分の前に置く
4)パス
の4つ。全員がパスしたらそのフェイズは終了。
で、フェイズの得点計算と収入。各カードに、金の収入と名誉点が書かれており、職人フェイズでは職人カードに書かれた収入と得点の合計が入る。
職人フェイズが終わると、同様に、建築物フェイズ、貴族フェイズ、交換フェイズ(場のカードがポケモン風に進化するカードがめくられる)とおこなっていく。最後の交換フェイズだけは収入も得点もない。
つまり、各フェイズの違いは、始めにめくられるカードと、収入、得点が入るカードの種類である。できることに違いはないのだ。そのため、思っていたよりはぜんぜん簡単で、テンポのいいゲームになっている。
フェイズの手番順は持ち回りになっており、不公平感もない。
むろん3種類の収入、得点源は差別化されている。職人は基本的に金だけ。貴族は職人より効率が悪いが金と、高価なものでは得点も入る。建築物では高い得点が入る。
こういうゲームではいかにもありそうな、特殊効果を持つカードというのもある。
で、4つの山のどれかが尽きたラウンドでゲーム終了。最後に、持っている貴族カードの種類に応じて(1+2+……+n点)得点が加算される。
要は、基本的には拡大再生産していくと考えていい。のだが、そのバランスが微妙で、そこもおもしろいところだ。効率の悪いカードでは投資金を回収できそうもないものもあるし、序盤に考えずにやっていると手詰まりになりかねないのである。
さて、ルールを説明したところで、不満がある。これは完全にカードゲームなのである。それなのになぜボードと駒がついてくるか。定価は4000円と安いのだが、カードゲームだと思うと高いのである。まあ、ゲームがおもしろいからいいけど。
とりあえず、いろいろ作戦を考えたくなるわけである。職人作戦とか貴族作戦とか、特殊カード作戦とか。まあ実のところ、完全にどれかを切り捨てて勝てるとは思えないわけだが、どこかに重点を置くことは可能だ。
そうして収入と得点のバランスを考えながら勝利形を捜していくプレイ感覚は、意外だがサン・ファンに近い。最近のトレンドなのだろう。だがずっとシンプルで、経験者と初心者との間の格差もサン・ファンほど大きくはない。
プレイ時間も、まあ考える気になれば考えてしまえる部分はたくさんあるが、それでも思ったほどにはならない。
いいゲームである。わたしが今もっとやりたいゲームナンバーワンだ。だが「サンクトペテルブルグやりましょう!」というと舌を噛みそうなのが一番の不満である。
カードリスト
A4ヨコで印刷してください。
やはりね、知ってると知らないとではずいぶん違うから。
建物の名前とかはいろいろ呼び方があるようだけど、訳は原意とメビウス訳を尊重してみた(つもり)。
PC版サンクトペテルブルグ
コンピュータ3人と対戦できるソフト。むろんわたしが作ったわけではなく、Westpark Gamersというサイトで公開されているもの。コツを掴んだプレイヤーくらいの強さはあるので、練習(ヒマつぶし)にはいい。