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チョコラトル
 ボードゲーム

2010/09/08 03:14てらしま
チョコラトル
Chocolatl
2010年
Quind Games
Gunter Burkhardt
3~5人
45~60分
thx to play:game
amazon

chocolatl.jpg
 好きなタイプのゲームのようなんだけど。しょうじきなところ、あまりいいことは書けない。単純にデベロップ不足だろう。
 いろいろと挑戦しているのだが、あまり機能していないという印象がしょうじきなところだ。
 でも、好きなタイプのゲームだし挑戦は評価したいみたいな気もする。気にはなるゲームである。

 昔のアステカの話。カカオをケツァルコアトル神に捧げるらしい。チョコラトルというのはケツァルコアトルのことで、チョコレートの語源らしいですよ。
 カカオを収穫する、ピラミッドを造る、カカオを調理する、あとTachliとかいうスポーツをやる、という、なんとも支離滅裂な内容なのだけど。
 ゲームは「カカオカード」をつかった入札が主になる。1枚ずつ配られるプレイヤーボードに描かれた6つのアクションに、裏向きで2枚ずつ入札する(手札は12枚)。
 各アクションで、高い入札をしたプレイヤーが、そのアクションを実行できる。というわけで。
 カードがワーカーだと思えば、ワーカープレイスメントっぽいともいえる。でもまあ、違う。配置することに意味があるとはいえないから。いわゆるブラインドオークションともとれる。でもそれも違う。各アクションに配置する枚数は固定で2枚。誰がどこを優先したのかという、情報がない。
 まあそのあたり、既存のシステムに沿わなければならないということではないのだけど。まあ少々、中途半端になっちゃったかなあと思う。
 あとちなみに、手札のカードは0から12の数字が書かれているのだけど。これを2枚ずつ配置というのは、あまり意味がない。手札は6枚でよかっただろうなあと思う。
 ……ボードゲームというのはけっこう、デザイナーにとって残酷なところもあって。こういうシステム上の無駄は、ひとつでもわりと許されない。ゲーム的に意味があれば(戦略の木が分岐すれば)まあ、いいのだけど。

 6つのアクションへの入札方法は3種類あって、ラウンドごとに変わる。トップの得点によって決まるのだが。
「全部配置する」「1個ずつ公開しながら配置する」「まず全部に1枚ずつ入札してから公開し、2枚目を置いていく」という感じで、微妙に置きかたが変わる。
 これ、挑戦は認めたいけど。実質上ほぼ意味をなさないルールになってたり……。

 他にも、不満はいろいろあるのだけど。
 なんかこう、わざとやってるんじゃないかと思うくらい、無駄が多い。ルールを読んでいて、いちいちツッコミどころがあるのだ。
 個々の要素はちゃんと作られているし、コンポーネントも手を抜いた感じではない。だから、なんでこうなってるんだろうと思う。
 とはいえ、無駄といっても不備があるわけではないし、ちゃんとルールを運用すればおもしろくないわけでもない。
 なので、とりあえずシステム上の無駄は気にしないことにすると。

 このゲーム、バランス面でも、少しふつうじゃないことをやっている。
 家をつくるとか、手札を強化するとか。けっこう、生産力を向上するための選択肢がある。それも、強力だ。
 しかし、直悦得点を得るアクションの効率は序盤ほど高い。生産力への投資をすれば生産が拡大するかと思えば……、たしかに強くなるのだけど、そのころにはもう盤面に得点が残っていない。
 拡大再生産に見せかけた、叙述トリックみたいなものだ。はじめから生産力に投資しないほうがたぶん強い、というような、奇妙なバランスになっている。

 ついでにいえば。これは悪いところではないのだけど。サイコロをつかう。
 出た目の数だけ得点とか、そんな感じの使いかただ。乱暴といえば乱暴なダイスだけど。
 じつは、これ自体はぜんぜんかまわない。上に書いたような他の欠点のように、ロジックが破綻してはいない。
 でも、かまわないのだけど、サイコロを無闇に嫌う人も多いから……。ただでさえデベロップ不足のところに、さらに損してるなあと思う。

 あーやっぱり悪いことばっかり書いてるなあ。
 でも、じつはそれほど嫌いじゃないのですよ。中途半端ではあるけど、アクションに入札するシステムは(無駄を気にしなければ)楽しいし。なにしろやっていることは入札だ。入札とかオークションというのはプレイヤーがバランスをちょうせいすつから、ゲームにはなる。
 評価はできないが、やっていてつまらないということでもないというか。

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チョコラトルを