ずいぶんむかし、ドラゴンクエストのカードゲームで似たようなものがあった記憶がある。なんてゲームだったか忘れたけど。あーでも、あれにはバッティングの要素はなかったかな。
とりあえず、テーブルのまん中に山札がある。内容は10〜1と-1〜-5の15枚。
各プレイヤーにはそれとは別の、1〜15の15枚のカードが渡されている。
勘のいいゲーマーなら、この小道具でルールが全部わかってしまっても不思議はないけど(笑)。
山札が1枚めくられる。それを見て、プレイヤーたちは手札から1枚を裏向きに出す。
せーので表がえす。
場のカードがプラスの場合、そのトリックは一番高いカードを出した人の勝ち。場のカードをもらうことができる。
場がマイナスなら、一番低いカードの人がそれを引きとらなければならない。
15トリックやって、とったカードの合計点が最高の人の勝利だ。
わかりやすい。
ただし、ここにバッティングの要素が加えられている。
各トリックで、もし同じ数字を出した人がいたら、その人たちはいなかったことになる。勝つことも負けることもなくなってしまうのだ。
つまり、たとえば一番大きい数字の人が複数いたら、そのトリックの勝者は次に大きい数字を出した人になるのである。
「10」をとるために「15」を出してしまうと、これはきっとバッティングするのでよくないとか、いやしかしみんながそう考えるならここは15だとか、いろいろ悩む。
このへんは、バッティングが採用されたゲームならばなんでもそうだけど、これほどシンプルなものはなかなかないだろう。バッティングゲームとしては、かなり究極的にシンプルなゲームだといってもいい。さすがランドルフ。
ただまあ、たしかにいろいろ悩むのだけど、実はどれを出してもダメでしたーとか、そんなことばっかりだったりはするけど。
ゲームとして、ということでいうと。
考えるべき要素は実はほとんどない。
プレイヤーがいろいろと迷っているのは迷っているのであって、考えているのではない。
もし考えているのだとしたらそれは対戦相手たちの心を読んでいるということになるのだけど、そうなると活動しているのはミラーニューロンであって、これは論理的思考のための回路とは別のものになる。で、そうした思考が「14か13か」という細かい数字の問題を判断できるのかというとなんとなく疑問だ。
……専門家じゃないからよく知りませんが。
ともかく「わーっかぶったー」というストレスとか、すごく低い数字で10をとってしまったときの快感とか、そういうものを楽しむ、まあパーティーゲームだ。
超お手軽で、インストも1分で終わっちゃうくらいの勢い。ボードゲームに慣れていないプレイヤーにも簡単に受け入れてもらえるだろう。そういう意味で、いいゲームである。バッティングが嫌いな人はいるだろうけど。
ただ……。
あまりに単純で、ゲーマーにとっては「ゲームやっている」という気分にすらならないような感じが、ないでもない。他のゲームと並べられたとき、あえてハゲタカの餌食が選ばれることは少ないかもしれないなあ。