ボードにマス目があって。マス目とマス目の間に国境線を置いていく。陣取りゲーム。
オリジナルが1996年で、その後2003年に新版が出た。らしい。ただの再販ではなく、ルール面もだいぶ手を入れられているらしい。
昔の版はやったことないけど、オークションがあったとか? この新版にはオークションはない。たしかに、だいぶ変わっているようだ。
初期配置で、城を配置する。4人プレイなら、3個ずつ。
あとは、カードをプレイしながら国境線を置いていく。地形によって得点が違ったりはするけど、もちろん、できるだけ広い陣地をとったほうがいい。
ボードの端には国境線が必要ない。だから、最初は四隅の近くからはじめたほうがいい。そのあたりは囲碁と同じ。
ボードに星描いといてくれたらよかったと思う。
なにしろ、まったく国境線がない状態でゲームがはじまってしまう。選択肢はひどくたくさんある。
自分の城は3個あるんである。盤面のいろいろな場所で同時に、たくさんある他の城と国境争いをしているわけで。一箇所に注力すれば、他のどこかで遅れをとることになる。そういう「ここで手を抜いて他の場所に打つ」という判断が必要だったり、そのあたりも、いろいろと囲碁っぽい。
国境線が確定したあともゲームは続く。騎士を相手よりも多く持っている国なら「領土拡張」をできる。武力をつかって、国境線の押し合いをするわけだ。
「陣取りといえばこんな感じ」だ。なんとも直感的で、見事なゲームと思う。
囲碁と違うのはもちろん、プレイヤーが3人以上いるマルチゲームであること。
囲碁は1対1だから、相手を攻撃することはそのまま自分の得になる。だがマルチゲームでは、攻撃をすれば、たぶん自分よりも攻撃されなかった第3者プレイヤーが得をする。
といっても、戦うことなくすませることができるようなゲームではない。基本的にガンガン戦う、インタラクションが非常に強いゲームだ。
誰が誰を攻撃するのか、いわゆる「お仕事」を求められたりする種類のゲームである。おそらく、理屈でいえば、攻撃されなかったプレイヤーが勝つだろうというゲームだ。
こういうゲームは、たぶん4人以上でプレイするのがいい。
3人だと、2人がもう一人を攻撃するとその一人が脱落する。これはまあ、そりゃそうだろう。
インタラクションが強いゲームでは、誰と誰が戦うのかというところで陣営が分割されるわけなのだけど、その組みあわせが、3人の場合は2パターンしかない。1対1対1か、2対1か、だ。
そして、このことがゲームの結果に及ぼす影響は強い。というより、インタラクションの度合いがある一定水準を超えると、ほとんどこの影響だけでゲームが決まってしまう。
こうなればもう、ゲームシステムはなんだろうと関係ない。ゲームシステムにかかわらず、誰と誰が戦うのかという陣営分けだけで結果が決まってしまうのである。
これが4人なら、2対2とか、2対1対1とか、いろいろなパターンがありうる。ゲームの展開が、4人のほうがずっと多彩だ。
どんなゲームでも、インタラクションがないわけではない。そういう意味では、じつは 「3人が最適」 なゲームというのはほとんどないような気がしている。
少なくとも、インタラクションが強ければ強いほどそうした傾向が強い。レーベンヘルツは、インタラクションが非常に強いゲームだ。だから、2人でなければ4人、と思う。
インタラクションの影響は強い。たぶんこのゲームも、最終的には「一番攻撃されなかったプレイヤーが勝つ」種類のゲームだろう。
逆にいえば、攻撃されないように振る舞うことが重要かもしれない。いきなり巨大な領地を目指してしまうと邪魔をされやすいかもしれないから、大きくはないけど堅実な領土を作ろうとか、そういうことを考える。
よくいう「お仕事」をする場面も出てくるだろう。しかし「お仕事」のために致命的なコストを支払ってしまうと、自分が勝てなくなるという本末転倒な事態になったり。
インタラクションが強いゲームでは必ずある、そういう要素を持ったゲームだ。21世紀のトレンドからすると、かなり強すぎるインタラクションを持ったゲームといえる。
もっとも、なにしろテーマは陣取りなのだ。陣取りのインタラクションは強くてあたりまえとも思う。
マス目とマス目の間に国境線を置き、領土を争う、このテーマがとても直感的に表現されていて、楽しい。「陣取りといえば」といいたくなる傑作だ。