ジャケ買いしたゲームなのだが、意外にも面白かった。なんでもそうだが、一つの趣味を続けているとそういうこともある。
西部劇が好きなのである。レンタルビデオ屋で、西部劇の棚に並んでいるビデオを左側から順番に借りていったこともある。そういう人間にとっては、無視することができなかったゲームなのだ。だから、全然評判を聞いていなかったのに買った。
賞金稼ぎになって、ウォンテッドを捕まえ、賞金を稼ぐゲームだ。
「保安官カード」を使うと賞金首の犯罪が明らかになるのか、賞金が上がったりする。つまり賞金稼ぎたちは賞金首が犯罪を重ねるのを待っているのか?
「指名手配」「西部一の早撃ち」「銀行強盗」「ワイアットアープ」などのカードを駆使して賞金を上げ、捕まえる。賞金首は西部時代、現実にいた悪党ども。けっこう雰囲気が出ている。
悪党がどんな奴だったのか、知っているとさらに面白くなる。別にゲーム的に差はないのだが、やっぱりジェシー・ジェームズが一番大物だから、賞金稼ぎたちにも人気があるかもな、とか、余計なことを考えられるのが楽しい。
全体的にだるくなることがなく、適度に運の要素が含まれた、気楽なゲーム。数回遊ぶと飽きるが、さらに何度もやっているとまた面白くなってくる。
さて、プレイヤーは賞金稼ぎと書いたが、どうもそのあたりには疑問がある。
「ワイアットアープ」カードはきっと、ワイアットアープに助けを求めるカードだろう。ということは、プレイヤーはワイアットアープではない。それでいくと、「保安官カード」とは保安官に協力させるカードなのか。じゃあプレイヤーは保安官ではない。しかしまるで保安官に命令するかのように指名手配させたりする。
だが、カードでお尋ね者に犯罪を犯させることもできる。これはどういうことなのか。
場のデザインとしては、西部時代の酒場でバーボンを飲みながら賭けポーカーをやってるような感じになっている。そこからすると、ひょっとしてプレイヤーはただの酔っぱらいの大ぼらふきたちで、「俺は昔あいつを捕まえたんだぜ!」とか見栄を張り合っているんじゃないか。
「俺が捕まえたあいつはひどい悪党でなぁ。西部一の早撃ちで、銀行強盗もやった。俺は相棒のワイアット・アープと一緒にあいつを追いつめたのさ……」
そんな与太話を主張しあう金鉱掘りたち、というのが一番、このゲームにふさわしい設定かもしれない、とか、友人と話した結論がそんなことだった。
ゲーム自体も佳作以上といっていい出来だが、そういう想像力を喚起させる雰囲気のよさがいい。私は、ゲーム性とプロダクトデザインとは切り離せないと思っている。コマの形がかわいいからゲームをやる、ということだってある。場を囲んだ雰囲気がいかにも西部。少なくとも西部劇好きには楽しい。