遊星ゲームズ
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ヴァルドラ
 ボードゲーム

2009/06/10 08:55 てらしま
ヴァルドラ
Valdora
2009年
Abacus
Michael Schacht
3~5人(たぶん4~5人)
90分
thx to play:game
amazon

 シャハトのゲームはおもしろい。このゲームも本当におもしろい。プレイした人の感想はだいたい好意的だ。
 だが、やる機会はあるんだろうか……。
 というのは、やっぱり、ドミニオンだのアグリコラだのと比べると華がないから。
 コンポーネントはいろいろ凝ってるし、それで気を惹くことはできるのだけど。でも、これだけおもしろいゲームがたくさんある中で、あえてこのゲームが遊ばれる理由には弱いというような気もする。

 ボード上に、宝石が落ちている。主人公たちは冒険者となり、その宝石を拾い集める。
 この設定はもちろん抽象化されたもので、本当に道ばたに落ちてるわけじゃないんだろうけど。
 拾った宝石は、ほしがっている人のところに届けると得点になる。
 とりあえず、宝石を掘るための道具が必要だ。ツルハシとか、ハンマーとか。あと、荷車とかロバとか。そういうものは、街で買う。
 あと必要なのは、誰がどの宝石をほしがっているかという情報(契約書)。これは、道具を売ってるのとは別の街で情報収集する。
 あとは、銀山で銀を掘ったり、道ばたで宝石を拾ったり。港町で必要な宝石を調達したり。

ヴァルドラ

カード置き場 注目すべきはこのコンポーネント。
 街には道具カードや契約書カードがあるわけだけど、そのカード置き場がこれ→。
 わかるだろうか。
 なんか木の置き場があって。これは、真ん中のレールの両側が傾斜しているかたちをしている。両側にカードをおくんである。
 カードには見てのとおりの絵が描いてある。
 これで、いかにも本のページをめくっているようなカード置き場になっている。
 ゲーム的にいって、この小道具がぜひ必要というわけではない。
「2ページだけ見えていて、右にも左にもめくれる」という機能を実現するためには必要なのかもしれないが。そしてこれは、ストレスを感じない程度に適度な記憶力を要求するという意味で、とてもいい味を出してもいるのだが。意外にも。
 でも、ぜひ必要かといえば、やっぱりいらない。他の方法でもよかったはずである。しょせんただのカード置き場で、ゲーム的にそれほど大きな意味をもつというわけではない。
 過剰なコンポーネントである。
 しかし。
 これをボード上に置いてみると。そしてめくってみると、なんとも楽しいんである。
 考えすぎで空回り気味になってしまった小道具なら、たくさん見てきている。いろんなゲームに手を出すタイプのボードゲーマーならたぶん、わたしよりももっと多くのトンデモを見ているだろう。
 この「本型カード置き場」も、そういうモノじゃないかと思っていた。
 でもそうでもなかった。
 小道具一個だけを見てはいけない。このボードに、上にカード載せた状態ではじめて完成するんである。
 なにげにいい。

 なによりボードが美しく、その上を歩き回っているだけでなんか楽しい。本をめくるのも楽しい。
「プレイするのが楽しい」というのは一番重要なことだと思うけど、デザインするほうとしては一番難しいところでもあるだろう。
 ヴァルドラは、その難関をクリアしている。

 システムの面からみれば「すばらしい!」とはいいがたいゲームのほうが、大きな人気を集めることがある。
 たとえば、アグリコラとか、レース・フォー・ザ・ギャラクシーとか。ファンの方にはもうしわけないけど、ああいうものは、ゲームとしていいデザインとはいえない。
 でもそれが悪いわけじゃない。むしろ欠点があるくらいのほうが、人気を集めやすいんじゃないかと思うこともある。
 カードを必要以上にたくさん使い、いろんなことができる代わりにバランスは調整しきれていない、というくらいの、ああいうデザインには、特有の楽しさと自由感がある。見事に調整されたデザインより、何度もプレイしていろんなことを試したくさせる魔力がある。
 シャハトがやっているのは逆。無駄のない職人の仕事だ。
 技術力があるからルールが洗練される。バランスもきっちり調整される。
 しかし、そういう仕事には華がない。
 たぶん職人でもそういうことは考えていて。だからこのゲームみたいな小道具を考えてみたりするんだと思う。
 ゲームとしては蛇足に近いんだが、それがおもしろさを引き出すこともある。ヴァルドラではちゃんと成功している。
 ……のだけど、やっぱり、職人芸なのである。
 ゲームバランスはボードの中にきっちり収まっている。コンポーネントに凝ってみたりはしても、システムに余分な部分はあまり残っていない。
 たとえば拡張セットを作る余地はないだろう。デザイナーが意図していないゲーム展開もあまりないだろう。
 ボードゲームとして安心できるけど。
 でもこういうデザインでは、超話題のゲームにはなれないかもしれない。

 個人的には、あたりまえにクオリティ高いものを作る職人にあこがれるような気質があって。こういうのすごく好きである。
「あーボードゲームだなー」と思う。すばらしい。

cut4.jpg

kamata -2009/06/10 11:35
 すげえ!この『本』のコンポーネントは、本当に素晴らしいですね。これだけで遊ぶ気になれる。
 似た機能は過去にTCGでも、小型カードファイルを利用して再現したりしてましたが、やはりこういう卓上に置けるホルダー器具の方が遊びやすいし、しっくり来る。
 以前からダイソーの名刺ケース・ファイルやカードホルダーなどの小物で何かゲームを作れないか考えていたんですが、これはいいヒントになった気がします。機会があればぜひ遊んでみたい。


てらしま -2009/06/22 02:15
 ふと思ったけど。もしこの小道具を先に思いついてたら「街の図書館で古文書を調べて遺跡を発掘」とか、そういうネタになるのが自然なような。採掘道具とか契約書とか、あんまり本と関係ないですね。
 小道具は後から考えたのか、それともいろんな紆余曲折の末いまのデザインになったということなのか、ちょっと知りたい。


けがわ -2009/06/22 18:12
ヴァルドラに俄然興味を持ちました。話題性が無くても華がなくてもしっかりしたゲームの方に好感を持ちます。シャハトの気の利いた小道具。うーん、遊んでみたい。


てらしま -2009/06/23 08:31
 けがわさんどうもです。
 じっさい、やってることはけっこう地味におつかいゲームです。効率いい手筋を考えなきゃいけないです。シャハトっぽい(笑)
 こういうの好きな方にはおすすめですよ。


ヴァルドラを