とにかくまずはコンポーネント。大きくずっしりとしたポーカーチップがついてくる。だいたいこれと同じようなやつ。すごい。このへんはツォッホらしい感じ。
十数ミリの厚紙のチットとか、ボドゲだと多いしたしかにそれでもゲームできるんだけど、やっぱり、用具がしっかりしてるとやる気が違う。抵抗できない魅力というのがある。
そして、このてきとうなボード。この絵はなに? 外周のこれは勝利点トラックなの?
なんかもう、見た目がとりあえずすごいのだ。
ゲームのほうはというと。一言では説明できないのだけど、まずはバーストゲーだ。
窯から石炭を拾うのだけど、窯だから熱い。あんまりやると火傷してしまう。写真の黒いチップが石炭。表面には、数字か悪魔の絵がある。悪魔をめくったらその時点で失敗。バーストゲーだ。悪魔をめくらずにどれだけ価値のある石炭を拾えるか。
そんなバーストゲーを核に、オークションというかビッドも取り入れられている。
ラウンドが始まったらまず、ポーカーチップを手に握る。この握った額というのはなにかというと、石炭の数字の合計がどこまでいくかの予想だ。
おもしろいのは、ビッドを達成するのは自分でなくてもいいところ。誰か1人が達成すればビッドは成功になる。
ビッドが終わったら、石炭を引くフェイズ。スタートプレイヤーから順番に、石炭を引いていく。何枚引いてもいいけど、悪魔をめくったらその時点でバースト。バーストしたら、単独最下位のプレイヤーに50点支払わないといけない。
全員が引き終えたら、得点計算。ビッドに成功したプレイヤーは、ビッドした額と同額を受け取る。一番高いビッドをしたプレイヤーが成功していたら、さらに同じ額を受け取る。
あと、めくった石炭の価値の合計が一番高かったプレイヤーにはボーナス50点。めくった石炭の枚数が一番多かったプレイヤーにもボーナス50点。
で、次のラウンドだ。
めくった石炭は戻さずに次のラウンドにいくのだけど、石炭を真ん中に集めて釜の絵の口に収まるまで減っていたら、石炭を全部戻す。このへんのてきとうさもちょっと楽しい。
バーストとビッドを組み合わせて、さらに調整のため細かいルールを付け足した感じ。その結果、妙な味のあるゲームになっている。
で、おもしろいのかといったら、これがすごくおもしろい。独特で説明しづらいけど、おもしろいのだ。
なんだろうなあ。バーストの盛り上がりをちゃんと活かせてるのと、ビッドが楽しいのと。あとすごく分散の大きい乱数を使ってるからいつでも逆転の可能性があるとか。最下位を救済するルールがきっちり働いていて大差がつかないようになってるとか。
こういう細かいルールで調整されたゲームって、ぼやけた印象になることが多いと思う。調整のためとはいえ、ゲームの中心的なメカニクスと関係ないところから得点をもらってしまうと、軸がぶれなにをしているのかわからなくなってしまう。印象が薄れてしまう。あるいは、下位を救済するルールが機能しすぎて、なにをやっても差がないゲームになってしまったり。そういうゲームけっこうある。
このゲーム、そういうぼやけたゲームになってもおかしくなかったと思う。じっさいなっている面もあるのだけど。でも、おもしろいし盛り上がるのだからこれでいいのだ。
ぎりぎりの綱渡りですごくいいポイントを探り当てたという感じがする。それはコンポーネントの好印象も含めてのことかもしれない。
たぶん間違いなく盛り上がれるゲームだ。プリミティブなおもしろさというよりもきれいに調整された安定感があり、外れることが少ないと思う。オープンなゲーム会などにも安心して持っていける種類のゲームだ。