これけっこう好き。シャハトである。
王と枢機卿のように、手札をプレイしてその色の地形に商館を建てていく。マップには道が描かれていて、商館はその道でつながるように建てる。
マップの中央には、でかい黄金都市がある。
交易ルートを延ばしていって、黄金都市に商館を建てるのが目的だ。
「カードをプレイ」して「建物を建てる」というこのスタイル、この人はずいぶん使いたおしている。かなり枯れた(完成した)技術だ。
このゲームも、なんだか安心して遊べる。過去の作品を知っているせいかもしれないが、ルール読んだだけでもうおもしろいだろうなと思った。
同じ色のカードを2枚プレイすると、その色の地形に商館が建つ。
また、同じ色2枚の組みあわせは別の色1枚分として扱えるという「ジョーカールール」がある。過去のゲームにもあったものだが、これがいい。
このカードは、入札で手に入れる。
入札といったって、簡単なものだ。
ラウンド開始時に、2枚ずつの組みあわせが人数分作られる。スタートプレイヤーから順番に、自分がほしい組みあわせの上に手(手のかたちのタイル)をおく。
他の人が手を置いているカードがほしいのなら、お金を払えば追い出せる。
そうやって、全員が1ラウンドに2枚、手札を手に入れる。
とここまでが、基本的なルールだ。
カードを手に入れる方法に工夫がこらされているものの、大筋は、じつに見たことあるシステムなのである。
しかし、コンポーネントにはもっといろんなものが入っているんである。商品カードとか、鍵とか。そもそも、入札につかうお金はどこから手に入るのか。
それらはみんな、ボードに書いてある。
ボード上の、商館を建てることのできる場所(村)に、アイコンが書かれている。そこに商館を建てたら、示されているものがもらえる。
アイコンにはなにも複雑なことはない。ただ単に、絵に示されているとおりのものをもらえるというだけだ。お金がある村とか、商品カードがある村とか。
いろんなものが入っているわりに、非常にわかりやすい。インストもしやすい。
「いろんな要素があるけどプレイしやすい」というのは、近年流行の、ワーカープレイスメントと呼ばれるシステムの特徴である。
しかし、ワーカープレイスメントにしかできないというわけではない。
むしろ、ワーカープレイスメントが必要なゲームというのは、処理が複雑すぎるためにああいう方法で整理しなければならなかったのだといえる。
システムをちゃんと整理してあれば、あえて使う必要はない。
なにかそういう、気概みたいなものを感じた。
得点手段はけっこういろいろ用意されている。商品、川沿いの商館、黄金都市外苑、黄金都市中心部、と、それぞれが特徴的な得点獲得ロジックになっている。
そして、そういうものの選択はすべて、手札と商館の配置だけで決まるのである。
カードのめくれかたなど、乱数はかなりある。これはむしろいい。個人的な好みでは、これくらいの乱数はあったほうがいい。
村から村につながる道のリンクっぷりが絶妙で、インタラクションは強いが強すぎない。
いろいろなものが、わたしの好みどおりに配置されたゲームという気がしている。
難点はやはり、地味なところかなあ。
黄金都市というテーマも目新しくないし、システムも見たことある。
枯れた技術を使っているから安心できるけど、でも世間には、新人賞を獲った小説ばかり読む種類の読書家もいる。新人賞作品はハズレのほうが圧倒的に多いけど、新しいものだから飽きないんだよな。
そのいっぽうで、宮部みゆきを読み続けてる人もいる。当然、どちらが正しいわけでもない。
まあ往々にして、話題になるのは新人賞作品のほうだけど。