遊星ゲームズ
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R-ECO
 ボードゲーム

2006.04.03 16:51 てらしま
R-ECO
2004年
カワサキファクトリー
川崎 晋
3-5人(4-5人)
30分
thx to play:game

 わたしがやったことのある日本製ゲームの中では(←少ない)、出色のできといっていい。しかも同人(だった?)。ていうかこういう同人出の作品のほうがおもしろい。
 4色の「処分場」カードが、場に、一列に並べられている。処分場の両側には、それぞれ「倉庫」列、「ゴミ捨て場」列が作られる。
 プレイヤーがすることは

  1. 倉庫に、対応した色のゴミカードを好きな枚数搬入する
  2. その色のゴミ捨て場のゴミカードをすべて引きとる
  3. いま倉庫に置かれているゴミカードの枚数+1枚のゴミを、山札からゴミ捨て場に補充する

 のくりかえし。
 倉庫に4個目のゴミを置いたプレイヤーは、処分場の上に置かれている「得点カード」をゲット。倉庫のゴミは晴れて処分される。
 リサイクル業者であるプレイヤーが、ゴミを分別して処分場に運ぶと得点が入るわけである。
 ただし、手札の枚数には制限がある。5枚を超えていたら、超えた分の手札は「不法投棄」しなければならない。不法投棄分は、ゲーム終了時にマイナスの得点になってしまう。
 ゲーム終了時には、2枚以上持っている色の得点カードの得点だけが得点になる。そこから不法投棄分を引いて、残りの得点が高い人の勝ち。

 基本的には、なにしろ手札はゴミだ。あまり持っていると処分に困るし、溜まりすぎれば分別が追いつかず不法投棄するはめになる。
 しかし、ゴミがなければ得点にならない。ゴミはどう考えたってゴミだが、資産にもなりうる。リサイクル業者の苦悩(?)がテーマだ。
 場のカードはすごい勢いで入れかわり、手札もどんどん入れかわる。動きがやたらと激しいため始めの印象は大味なのだが、実はわりとそうでもない。
 テストプレイをくりかえしたんだろうなーと思う。しかも「イベントカード」に頼らずに、ルールそのものを磨くことで調整した感じがある。
 非常によくわかってる人が作ったんじゃないかと思えるデザインなのだ。

 とにかく、日本製ゲームには経験が足りない。
 たくさんのゲームをプレイし、デザインした経験が足りないから「きれいにまとまってるけどどこがおもしろいかわからない」とか「おもしろそうだけど作りこみが足りなくて破綻している」とか、そんな段階のゲームが発売されてしまうことが多い。
 昔から、いいかげんなスゴロクとか人生ゲームとか、こういってはなんだが「子供だまし」なゲームが多かった。大手のおもちゃ会社が、ゲームを真剣に作ってこなかった歴史がある。いや、ゲームのおもしろさが市場に評価されることがなかったから、おもちゃ会社も本腰を入れられなかったのかもしれない。
 だから、ノウハウがないのはしかたない。
 だが、いまは時代が変わった。本物しか評価されない、歌の下手なアイドルが売れない不況の時代なのである。これだけうるさいボードゲームのファンが中心なのだから、こいつらに売るつもりなら、ドイツ製に肉薄した完成度が求められてしまう。
 そうであれば、ちゃんと作る気ならテストプレイをくりかえすしかない。ノウハウを持ったエンジニアがいない以上、トライ&エラーで作るしかないじゃないか。
 もっとも、大きなおもちゃ会社などではどうしても、そうした手間のかかるやりかたは難しいかもしれない。
 だが同人ならやれた。
 そんな中で生まれてきたゲームの一つが、R-ECOなんだろうと思う。

 もう一つ。日本にはまだ、ゲームデザイナーの能力を評価する下地がない。ゲームデザイナーが、作家や芸術家と同じように作品を売りこんで、メーカーがその企画を実現する、そういう環境になれば、理想的だ。
 ただ、R-ECOはたしかにおもしろいのだが、どこか「華がない」のはたしか。しかし、R-ECOくらいのレベルのゲームがいくつも出てきてはじめて、その中から「名作」が生まれる。そういうものだろう。
 萌えなイラストとか、ゲームの軽さとか、そんな些事にこだわる前に、単純におもしろいゲームがなければダメなんである。このゲームで始まった(でいいのか?)カワサキファクトリーの人気は、日本ボドゲの新時代を開くものかもしれない。

cut4.jpg


[2006.04.04 00:17]しん :
R-ECOはいいゲームだね。
ゲームマーケットかなんかでチュートリアルを受けて、その場で買ってしまった記憶が(^_^;


[2006.04.04 01:22]てらしま :
 コメントありがとうございますー。
 なんかパッケージ白いし、日本製だし、わたしの場合は、はじめはピンとこなかったんですけどね。そういう偏見は捨てなきゃかなと、これで思った記憶があります(笑)


[2006.08.16 02:47]けがわ :
HPリニューアルされたのですね。おめでとうございます。R-ECOは良いゲームですよね。日本もヤポンブランドというのが頑張っているようです。期待大ですね。


[2006.08.16 07:57]てらしま :
>ヤポンブランド
 play:gameでニュースを見させていただきました。けっこう昂奮するニュースですね。
 わたしは日本製ゲームのプレイ回数が少ないのであまりえらそうなことはいえないけど、やっぱり日本製のゲームにがんばってほしいとは思いますねー。


[2006.09.20 19:03]カワサキ :
R-ECOを取り上げてくださって、ありがとうございます。当サイトのトップページに書いた宣伝文から、このページにリンクさせていただきました。
製品版は、ルールはまったく変わりませんがカード枚数が若干増えています。パッケージも「なんか白い」から「やけに青い」に変わりました(笑)。


[2006.09.22 00:49]てらしま :
>カワサキさん
 ありがとうございます。というか公式サイトからリンクしていただくほどのことは書いてない気もしてなんかもうしわけないんですが(汗
 なんか青くていい感じになってますね。実はわたし持っていないので;; 今度見かけたら買わせていただきます。


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