遊星ゲームズ
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リビングストン
 ボードゲーム

2009/07/28 02:08 てらしま
リビングストン
Livingstone
2009年
Schmidt
Bnjamin Liersch
2~5人
60分
thx to play:game

 リビングストンといえばゲームブック作家のイアン・リビングストンだけど、残念ながらそっちじゃなくて。アフリカにいったことで有名な探検家のほうのお話。

 なんかボードに川があって。
 川に船が浮かんでいる。この船は左から右に1歩ずつ進んでいって、ゲームの進行を表している。
 川の上には、なにやらマス目が並んでいる。縦は6マスで、1から6の数字が横に書いてある。6というのは意味深な数字だけど、まあそのとおりサイコロの出目を表していたりする。
 横は10マスくらい。これは、船が進んでいくラウンド数を表す。
 ラウンドのはじめに、人数×2個のサイコロを振る。
 その後各プレイヤーは、順番に、出たサイコロの中から1個を選んでいく。
 人数×2個のサイコロがあるので、これは2周くらいする。ただし「前回とった目よりも大きい目」しかとれないというルールがある。2をとったら、次は3以上しかとれない。
 サイコロをとったら、その目を使ってターンのアクションをやる。
 選べる行動は、下の4つ。

  • 出た目に応じた位置にテントを置く
  • 出た目の数だけお金をもらう
  • 出た目の数だけ、袋から宝石を引く
  • イベントカードを1枚引く

 イスファハンを思い出すルールである。
 いろいろできるようだがじつはそうでもなくて。宝石はけっきょくお金になるし、お金はテントを張る資金になる。最終的な得点源は、ほぼテントのみだったりする。
 テントは、1の目なら1の行、2の目なら2の行という具合に置ける。そして、この出目と同じ得点が入る。6なら6点である。
 それに加え、ゲーム終了時にも得点が入る。この得点は、数字が小さい行のほうが高い。各行でテントの数を比べ、もっとも多く置いているプレイヤーに何点、という得点が入る。
 6の目の直接得点が強いけど、あえて小さい目を狙ってゲーム終了時得点を目指すこともできる……という、まあ少なくともそういう意図は感じる。

livingstone.jpg

 そんなゲームなんだけど、もうひとつ。
 各プレイヤーには、謎の貯金箱が渡されるんである。
 これもまあ、なんとなく想像できるとおりのもの。大勝負とか他のいくつかのゲームで見たことある、寄付金である。ゲーム中に、この箱の中にお金を投入していって。ゲーム終了時にはじめて箱を開け、もっとも寄付金の少ないプレイヤーの敗北、という奴だ。

 このボードがいい。と思う。絵がきれいとかそういうことではなくて、ラウンド数と得点が一目でわかるチャートでもありゲームボードでもある、というのはなんかいいと思った。
 ただ、それが必要かというとどうだろう。
 他のゲームでは、ここまで親切に整理されていなくても楽しめていた。可能性はあると思うけど、まあぶっちゃけ、6マスで事足りてたよねといえばそうかな。

 個人的には、好きなゲームではない。まあやってれば楽しいんだけど。
 イスファハン風のダイスとか、テーベの東風の袋を使った発掘とか、寄付金ルールとか、なんとなくちょっと、いろんなゲームからいろんなものを寄せ集めたような、品のなさを感じてしまう。
 それらがちゃんと噛みあっているなら文句のいいようもないけど。このゲームに関してはそうでもない。
 袋を使った発掘自体は楽しいが、どうせ全部お金になるだけだ。それならサイコロでいいんじゃないか? というか、サイコロならたくさん入っている。サイコロの乱数の上にさらに乱数を重ねたせいで、ゲームの軸がぶれてしまっている。
 リソースは最終的に、ほぼすべてがテントに集約される。だがじつは、その前の段階ですでに集約されてしまっているんである。宝石というリソースがあるが、これはけっきょくすべて、固定レートでお金になってしまう。お金の用途はただひとつ、テントを買うのみ。
 寄付金というのもあるけど、これはおまけだ。じつは、ゲーム性自体にはあまり影響を与えていない。
 つまり、理屈でいえば、リソースが一つ以上余分だった。少なくともお金か宝石は、もういっぽうとほぼ同じものであり、省いてもよかったものだ。
 リソース数が少ないということは、得点手段も少ないということになる。テントの置きかたで、直接得点とゲーム終了時得点という2つのルートがある。そこは意図されていると思うし、ルールを読んだときはなるほどとも思ったわけだけど。やってみると、それほど機能していない。
 あと、これは単純なデザインミスというべきなんだけど。船の位置によって、テントの値段が変わっていくようになっていて。ゲームが進むにつれ、テントは高くなっていくわけなのだけど。ところが、プレイヤーが手にするお金は増えていかないんである。

 そうした問題を解決するために、ゲームデザイナーがつかう魔法の道具が、イベントカードだ。
 このゲームも、イベントカードのおかげでゲームになっているたぐいのデザインなのである。
 イベントカード自体は悪くない。じっさい、絶妙なイベントカードのデザインで名作になったゲームだってある。でもこれは、デザイナーにとっては罠でもあると思う。 
 大概のゲームは、イベントカードでバランスを調整すれば遊べるレベルになってしまう。しかし、イベントカードはゲーム調整できるけど、ゲームをおもしろくすることはあまりないという気がする。

 というわけで、個人的にはいろいろ不満があるけど。しかしまあ、やっていれば楽しいし、遊べないわけでもない。充分そういうレベルに達しているゲームではある。あと1~2回やってみたいとも思ったり。

cut4.jpg

リビングストンを