<年金納付不正免除>15都府県で7万3259人
とてもいいことだと思うんだが。なんで問題なのかなあ……
支払能力はないけど免除申請がめんどくさい(あるいは知らない)というのが未納の原因の多数を占めてるんだろうから、勝手に免除されるようにするのが一番いい解決方法なのになあ。
2006.05.24 21:28 てらしま
顔も本名も知らないチャット仲間の5人が、オフ会で会うことになった。場所は、山奥にひっそりと建つ洋館。四泊五日の期間中も本名は明かさないという約束で、奇妙な休日がはじまる。
という、なまぬるそうな話。いや、しかしね……。
登場人物はそれぞれに複雑な過去を持っているらしく。それが、チャットでしか知らなかった人たちが匿名で顔を合わせるということは、そういう自分の境遇を誰かに聞いてほしかったのだということで……。
気の合う友だちとの楽しいイベントのはずが、少しずつ、様相を変えていくことになって……。
というあたりまではネタバレじゃない?
ネタバレはしない方針なのでくわしくは書かないけど。
なんとも、人を喰ったミステリーだった。わたしの知るかぎりで似た作風の人を挙げれば、乾くるみ。あれほどギミックを作りこむわけではないけど。
基本的に、こういうの好きだ。
コバルトで出てるのが意外といえば意外だけど、考えてみればむしろコバルトらしいような。
というかこのさい、逆に薦めておいたほうがいいかもしれない。これを読んでおもしろかった人は乾くるみを読め。
共感とか感動とかはまるで省みず、読者を化かすことに全力を注いだ、酷薄な書きっぷり。いかに魅力的な登場人物でも、将来は決して約束されない。
ほんとに乾くるみ系なのだ。そんな系があるんかというのはともかく。
明かされる背景設定が少し安っぽいのと、説明がわかりづらい感じがあったのが残念なので、そのあたりは次回作に期待。
……うーん、かなり期待できる。
つーか続編出てる。リリカル・ミステリーシリーズ? 読みます。
2006.05.22 17:48 てらしま
おー、ついにやった。野村美月がついにやった。これは久しぶりにかなり高評価。読め。
「最高傑作はデビュー作」だとかいってきたけど、やっぱりそれじゃいけないじゃないか。仮にそういうレビューを作家が目にしたとしたら、気分よくないだろうと思うし。
でもこの人はいままで「最高傑作はデビュー作」の人だったんである。『赤城山卓球場に歌声は響く』の、シュールさとスラップスティックが受けたと判断したのか、そういうものばかりを書いてきた。
たぶん放っておいても力のある人だ。そういうものを書いていてもそれなりにおもしろいのだが、やっぱり、デビュー作の下位互換という風に見えてしまう。
それで、描かれる話のスケールがだんだん小さくなっていて、残念だなと感じていたところだったわけだが。
この本は『赤城山〜』以外で一番おもしろかった。デビュー作は特別なので他と比べることには無理が多いけど、でも個人的には、赤城山よりこれのほうが好き。
物語を食べる妖怪美少女の文学少女と、その後輩でかつて「覆面美少女作家」だった少年の、二人しかいない文芸部。この二人が事件を解決する。
なんとミステリーなのである。
後輩にラブレターの代筆を頼まれた主人公だったのだが、その裏に隠れた事件が見え隠れして……。
みたいな話。
と書いてみてもどうしようもないが、まあとにかくミステリーなのだ。
本のページを破ってむしゃむしゃ食べちゃう文学少女はどう考えても妖怪だけど、別にすごい力があるわけではない。
超能力で事件を解決!とかだったら、少なくともわたしは好きになれなかっただろう。ラノベらしい不自然な設定ではあるが、ミステリーの部分はまともなのだ。
こいつがまた、今回のテーマである太宰治について長広舌を吐きまくるのだが、天然ボケで、後輩の主人公にはつっこまれたりする。
クライマックスシーンの「説得」がよかった。たしかになんかズレてるが、こんな文学少女にそんなことをいわれたら絶対に説得されちゃうと思う。ああこいつ、こんなときでもほんとに文学少女だなあと、読んでいてうれしくなる。簡単に感情に流されない、揺るがないキャラクターは安心するのだ。
平気で先輩につっこむ主人公もいい。こういう少年と少女の話では少女のほうに重点がいきがちで、視点キャラクターである少年のキャラクターが薄くなっちゃうものが多い気がするのだが、やっぱり主人公にも個性があったほうがおもしろい。
文芸部の二人が、ちゃんとそれぞれに立場を持って行動している。ちゃんとしたキャラクターが二人いるとおもしろくなるのだなあと思った。
わたしが野村美月を好きなのは、めちゃくちゃでシュールな話を書きながらもどこか品のある文章が好きだからだ。現実味のない世界設定でスラップスティックをやっていても、それが決して、ただの下品なドタバタにはならない。なにかテーマを持っていて、誰かの受け売りを書いてしまわない。
この本の太宰のウンチクも、ただ知識を書き並べただけではない。一つ一つの作品に、ちゃんとキャラクターの意見が添えられている。そういう品のよさがないと、好きになれないのである。
野村美月とウンチクって、なんとも喰いあわせの悪そうな組みあわせに思えるが、実はそうでもなかったのだ。むしろこういうウンチクのほうが、ただ理屈っぽいものよりもずっと説得力があるじゃないか。
問題は、このタイトルと装丁やオビからはそういう話だとわからないところか。ファミ通文庫の、ただでさえ書店の棚に埋もれてしまいがちな背表紙にこのタイトルがあっても「読みたい!」とは思えない気がする。まあ、作者名を先に見る読者がほとんどではあるのだろうけど。
でも、ただのファンである個人サイトのレビューにそういうのは関係ない。わたしはかなりおもしろかったのである。
……というよりもねー。
これはもうなんというか、ごく個人的な感想になってしまうが。この本にはたぶん、わたしの好きな話の要素が、見事にたくさん盛りこまれていた。かなりツボだったのだ。
なるほど、こういう話を書く作家だったのか。だからわたしはいままで野村美月を追いつづけたのかと、この本で気づいた。
久しぶりに、本気で次巻が楽しみなのだ。
うーむ。最後まで見た。見たことを後悔……まではしなかったが、たしかにいろいろ崩壊してるなあ。
とりあえず、力いっぱいSFをやってた(そぶりがあった)んだから、気軽に「物理法則を破る」とかいわないでほしいよな。この言葉一つで世界観すべてが崩壊するということをもう少し理解してほしい。結論は愛でもいいから。
われわれ大人は事情を勘ぐれちゃうから、あえて騙されちゃうこともできるけど、子供は、こういう子供だましには決して騙されない。というのはわたしの持論だが。
まあ昔のSFのセンス的には、神さまになっちゃうか滅亡するかのほうが納得できる(ただし見飽きている)んだけど、そういうところがSFのダメなところだし、わかりやすく少年と少女の話に絞ったところは評価すべきだろう。
警告されながら覚悟して見たせいか、思ったよりは満足したんである。そもそも50話も見ることができたんだから、それだけでだいぶ高評価といえるのはたしか。
2006.05.20 02:03 てらしま
個人的に、なにかとても懐かしい感覚で読んだ。わたしが中学生のころ、小松左京やら星新一やらの短編集を読み漁っていたころがあったわけなのだが、ああいうSF短編集の雰囲気があったのだ。
ただし、文法はいまのトレンドにあわせたボーイミーツガールである。主人公は中高生の少年で、電波な少女に出会う。全部ボーイミーツガールの話。
でもその状況設定が、いかにも短編SFなのだ。なんかもう無性にうれしくなっちゃうのだ。
わたしが読んでいた小松左京の文庫本とかだと、SFの短編集ではあっても、科学の話ばかりではない。幽霊とか妖怪とか、非日常的なものならなんでも出てくる。長編として話を膨らませる必要がないから、とにかく自由なのだ。
科学じゃなくてもSF。
そう考えてみると、いまの、やけに極まっちゃった萌え文化というのは、SFの後継者そのものなのかもしれない。
まあ、個人的には、病気の少女を出して泣かせる話だけは認めたくないのだが。アレで泣くのは騙されてるから気をつけたほうがいいよ(誰にいってるのか)。
もともと日本には落語やら講談やら、非日常を平気で扱う文化があったわけで、そういうものがSFになり、萌えになったのだと思えば、そもそもそういうジャンル分けには意味がないのだ。おもしろければなんでもいいんである。
……つまり、全部SFなのである(ぉ
さてこの本。昔のSF短編みたいな、ネタをとことんまでつきつめた、いけるところまでいっちゃったオチはそれほどない。小松左京の「わー」と話が大きくなっていく感じに慣らされたせいか、SFとしては少し物足りないかもしれない。
いや充分SFだしおもしろいんだけど、やはり電撃文庫、どうしてもSFがメインではない。あくまで個人的な感想ではあるが、そこがなんとなく不満といえば不満だ。
でもちゃんとオチがある、ちゃんとした良質の短編ばかりだ。さすが古橋秀之。
はっきりいえば「まともな」恋愛文学系の作家がよく出す短編集なんかの百倍は楽しめる。この人はたぶん、ライトノベルじゃなくてもかなりレベルの高い小説を書くだろう。
それがライトノベルにとどまっていることは、まあラノベ読み的には喜ぶべきなのかもしれないが、ちょっともったいないとも感じる。
電撃文庫でなければ、この同じネタを、もっと自由に膨らませることができたかもしれないと思ってしまう。本質がSF作家なのは間違いないだろうとは思うし。