ゲームマーケット2010のフリープレイ卓を見て回った感じ、一番プレイされていたゲームがこれだったと思う。
とりあえず目を惹くのは、本。
本が入っているんである。なかなかボードゲームでは見ない用具だ。これが、魔法書というイメージで使われることになる。
この本を使い、いろんな魔法を駆使して、得点を稼ぐというゲーム。
ゲームシステムとしてはシンプルだ。本のページをめくり、このラウンドで使いたい魔法のページにしおりを挟む。それをいっせいに公開する。
選んだ魔法により手番順が決まる。だいたい、強い魔法ほど遅い感じになっている。あと、バッティングすると順番が最後になる。
手番には、場に出ているカードを1枚獲得して、選んだ魔法の効果を解決する。
まあ、手札からアクションカードを出すのと変わらないわけだけど。でもこれが「魔法書」だといわれれば、このほうが楽しい。
でこの魔法書、ラウンドが進むごとに自動的に、使っていいページが増えていく。最初は6ページしか使えないのだけど、最後には15ページ使えるようになる。
この本はすごくいい用具だ。選択するものが決まっているなら、手札よりもいい気がした。
さて、ルールは簡単だ。あとは、カードと魔法効果のバランス次第ということになる。
直接得点する魔法、ふつうはとれないアイテムカードを獲得する魔法、他人を攻撃する魔法などいろいろがあるわけだけど。
場から獲得するカードは、いろんな計算方法で勝利点を提供したり、持っていると特別な効果があったりする。これは意図がはっきりとわかる。複数の得点経路を用意することは、この種のゲームには必須だ。
魔法のバランスについては、若干疑問がある。ページが若いほうが順番が早いわけなので、若いページの効果はもっと弱くていいと思う。
似たようなシステムを採用しているハバナでは、一番早い順番をとれる「シエスタ」には効果がなかった。それくらいでいい気がする。
あと、魔法効果のインタラクションが少し強すぎる。
他人を一人選んで攻撃、という魔法の効果が非常に強く、終盤は逆転に次ぐ逆転になる。それが楽しいという向きもあるだろうけど、逆にいえばこれは、いくら自分ががんばっても相手の選択によっていきなり負けるということだ。
さらに、順番が逆になるという魔法があったりもする。
ただでさえバッティングの要素があり、このゲームではバッティングした場合のデメリットが激しいわけで。
バッティング、直接攻撃、手番順の逆転と、インタラクションを発生する装置が多すぎ、互いの効果を打ち消してしまっている感じはある。
インタラクションが非常に強いゲームの例は、1回勝負のジャンケンだ。ジャンケンはゲームとはいえない。インタラクションが強すぎると、ゲームシステムを打ち消してしまうのである。
特に、マルチゲームにおける手番順の影響の大きさに対して、近代のゲームとしては意識が低い感じはした。
ただ、インタラクションが強めのゲームのほうが、日本人が好むタイプなのかもしれない。という面はまああるわけだけど。
インタラクションの強さ、特殊カードの多さ、というあたり、いまの日本らしいゲームとはいえる気がする。